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NHKスペシャル「ヒューマン なぜ人間になれたのか」の視聴メモ。
2012年2月19日(日)放送の「第3集 大地に種をまいたとき」。

  • NHKスペシャル|ヒューマン なぜ人間になれたのか
    http://www.nhk.or.jp/special/onair/human.html
  • NHKスペシャル|ヒューマン なぜ人間になれたのか 第3集 大地に種をまいたとき
    http://www.nhk.or.jp/special/onair/120219.html
    世界中に広がった祖先は栽培をはじめる。農耕は人類史上最大の革命ともいわれる飛躍だった。以前はその飛躍はきわめて順調に行われたと考えられていたが、じつは数千年におよぶ苦難に満ちた格闘であったことがわかってきた。農耕初期は収穫量が限られていたため、周囲との軋轢が避けられなかったことに加え、その時期は温暖化によって氷河が溶け、各地で大洪水が頻発した時代でもあったのだ。じつは長く狩猟採集の移動生活をしていた人間世界には基本的に「協力する仲間」と「避け合う他人」という分類しかなかった。農耕のはじまりによって、長く付き合わなくてはならない「隣人」という存在が初めて生まれたのだ。凄惨な集団の戦いが激化する一方、共存を試行錯誤する集団も現れた。じつは主食となる小麦などの穀物は、そうした共存を指向した集団同士が祝祭を共同で開いた際、その席で食べるご馳走として栽培されはじめた可能性が最新研究から浮かび上がっている。「平和を願う心が農耕を発展させた」とする最新仮説に基づき、大洪水の頻発する激動の世界のなかで進んだ農耕革命の知られざるドラマを描く。

§

パプアニューギニアに遠い昔栽培を始めたばかりの生活を残している民族。
マルケ村。
荒れ地にしか見えない畑。
原始的なやり方ではいろんな種をまいてまとめて育てる。
そして栽培に適したものを見極める。

農耕の始まりは1万年前の西アジア。
温暖化が影響。
しかし、農耕の始まりともに争いが頻繁に起こるように。

§

マルケ村のもう一つの側面は「戦う民族」。
隣人(隣村)と今も戦う。
なわばり争い。

闘争心は人間には根深いもの。
戦いの前の踊りの前後でホルモンの変化を調べるとテストステロンが平均15%上昇。
テストステロンは男性ホルモンの一つで戦う気持ちにさせる闘争のホルモン。
必要とあればただちに上昇する、つまり祖先が生き残る上で重要な役割があったということ。
もともと狩猟においてテストステロンは重要。
しかし、狩猟採取から農耕へと移ると、人が増え、人間同士の争いになる。

農耕の始まり→人間同士の争い。

§

農耕の初期の小麦には大きな欠点。
熟した穂が風で飛び散りやすい(品種改良後の栽培種は飛び散らない)。
なので収穫量は少ない。
なぜそれでも栽培を続けたのか?

トルコのギョベックリ・テペ遺跡。
宗教施設ではないかと言われている。
遺跡内に部族別のゾーンがある。
つまり、近隣の部族が集まり共同で儀式を行い争いを押しとどめたと思われる。

儀式で必要なものは「ごちそう」。

マルケ村の集会。
敵対関係にある村の人が招待される。
豚がふるまわれる(村で10匹ほどの貴重なもの)。
儀式における「ごちそう」は争いを避ける切り札。
貴重なものをみんなで食べると仲間だという気持ちになれる。

ギョベックリ・テペ遺跡ではその「ごちそう」が小麦だったのではないか。
収穫量が少なかった小麦をビールとして振る舞った?
出土した大きなかめから推測。
日本でもお米からお酒。

§

争いを避け仲間を増やしていくためには食料を増やしていくしかない。
そのためには栽培種への改良が必要。

山口大学の研究。
西アジアの遺跡から採取した土。
当時の作物がわずかながら出てくる。
年代別の遺跡から小麦の断片を採取。
18000点。
栽培種の小麦か否かははがれ落ちたあと、脱穀のあとを見る。
これにより変化の仮定を調べ上げた。
その結果、とびちらない種が現れたのは初期から1500年後。

とびちらない突然変異は滅多に起こらない(広まるために不利)。
しかし、儀式等で各部族に持ち帰ることにより、突然変異が起こりやすくなり、そしてそもそも小麦自ら広まる必要がなくなるので飛び散らない種が出てくる。

3000年後、栽培種が初期小麦を上まわる。
栽培種の広がりとともに人口大幅増加が遺跡から分かった。

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オキシトシン。信頼のホルモン。
親が子供を抱いたときなど主に体がふれあったときに上昇。
結婚式など、接触がなくてもオキシトシンは上昇する。
人間はテストステロンに抵抗すべく、オキシトシンの働きを高めていった。

§

さらなる試練。
あたたかな気候により大きな災害が。
大量の氷が溶け海面上昇。
海辺に近い農耕地が沈む。

淡水湖だった黒海の周辺は肥沃な農耕地帯だったと思われる。
最大14万人がそこに暮らしていたと推測される。
海水がボスポラス海峡を越え、30年にわたって上昇を続け現在の黒海となった。

壊滅的な災難が農耕がさらに広がる原動力になった。
あきらめることなく新天地を求めたため、大水害後に農耕が一気に広がった。

NHKスペシャル取材班 / ヒューマン なぜヒトは人間になれたのか


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