古い記事
ランダムジャンプ
新しい記事

コミットメント

2004-05-25-2 [Book]
河合隼雄, 村上春樹 / 村上春樹、河合隼雄に会いにいく / 新潮文庫

この本で出てくる「コミットメント」「コミットする」という言葉はすご
く便利ですね。コミットメントは、外部への関わり。学生紛争、オウム、
大震災のボランティア、オープンソース、Web界隈のコミュニティ、など
などいろいろあります。あなたは何にコミットしてますか?
河合 いまの若者たちもやっぱりデタッチメントの気分は非常に強いです
よね。コミットするやつは、極端に言えば、バカだと、そのぐらいの感じ
があるんじゃないでしょうか。デタッチメントであるのを、クールであっ
て格好いいことのように思っている。
村上 ただ、九五年はオウム事件と阪神の大地震がありました。あれはま
さにコミットメントの問題ですよね。
河合 そうです。そこにものすごい反動のようなものが出たんですよ。ふ
だんデタッチの状態でいるような若者たちが、ものすごくコミットしたん
です。
デタッチメントは「関わりのなさ」。村上春樹の初期の小説の主人公とか。
で、日本の場合はどうもコミットしだすとベタベタとなれあいになってし
まう傾向があるらしいと。欧米と日本のボランティア活動を比べています。
河合 [...]みんなが集まるというときに、ちょっとサボっていると、おま
えは付き合いが悪いとか。つまり個人の自由を許さなくなるんですよ。全
体にベタベタにコミットしているやつが立派なやつで、自分の個人のアイ
ディアでなんかしようとするやつは、それは異端になってしまうでしょう。
 ところが、その点、欧米のコミットする人は、個人としてコミットしま
すからね。来るときは来る、来ないときは来ないというふうにできるんで
すよ。
村上 それぞれいろいろな事情をもってボランティアに参加していても、
週に三回来られる人と一回しか来られない人がいて、三回来られる人がい
ばるというのが出てくるのですよね。

あとは、箱庭療法、小説家でありながら健全、小説中の暴力性、などの話
がおもしろいです。得るところの多い本です。
この記事に言及しているこのブログ内の記事