東京工業大学の教授に就任した池上彰さん。理系学生への講義の内容が一冊に。「悪い会社・優れた経営者の見分け方」「なぜ優秀な理系学生がオウム真理教に?」「君ならサムスンに移籍するか?」「日本国憲法は改正すべきか」「リーマン・ショックとは何だったのか」「君は年金に入るべきか」「なぜ反日運動が起きるのか」etc.知るべきことを分かりやすく。ビジネスマンも必読です。
陸軍は理化学研究所、海軍は京都帝国大学。それぞれが別個に研究をしていました。すべては縦割り組織の下で進められていく。大規模な統一プロジェクトとして推進されたアメリカとは、ここでも大きな差がありました。もちろん、日本が原爆開発を早く進めればよかったと言っているわけではありません。物事の進め方において、日米でこうした差が出たということを言っておきたいのです。
ちなみに男女交際は、この世界で生きていくための必要欠くべからざる「教養」です。男性にとって、女性の自由な発想やコミュニケーション力に学ぶところは大きいですし、消費市場も女性が主導権を握っていますから、「女の気持ち」がわからないと、ものをつくる上で致命的になりかねない。
特に理系男子は、男ばかりの生活になりがちです。これもまた、健闘を祈ります。
CMが多すぎないように、番組の放映時間の量によってCMの放映時間量に基準を設けています。たとえば5分以内の番組であれば、CMの放映時間は1分です。5分を超えて10分以内の番組であれば、CMは2分、10分を超えて20分までは2分30秒、20分を超えて30分までなら3分
番組を54分と6分に分けたのです。54分でもCMは6分ですが、6分番組なら、CMは2分入れられます。合計で8分のCMを入れられるようになったのです。1時間の枠を、54分と6分とに分割することで、CMの放送時間を2分増加させることができたのです。
与えられた条件の中で隙間を見つけて利益を上げる。いかにも日本企業の得意とする手法が、ここでも発揮されたのです。
理科系の専門家の発言が、文科系の国民に伝わらない。世の中が、あまりに「文科系」と「理科系」に分かれてしまい、大きな断層が生じているのではないか。これは、今後の日本にとって看過できない問題ではないか。 私に、こんな問題意識が芽生えていたときに、「東工大の学生たちに、社会科学的な教養を身につけるお手伝いをしていただけませんか」とのお誘いをいただき、決断したのです
いつも理系の専門分野を学んでいる学生たちに、現代世界の構造や成り立ちの基礎を知ってもらうことを主眼目にしています。自分たちの周りの社会がどうなっていて、どのように動いているかを知ることは、現代に生きる者にとって必須の知識だからです。 東工大の学生は、将来技術者や研究者の道を進む人が多いことも考慮して、企業のあり方や技術者の生き方・働き方を考えてもらう内容も盛り込みました。
本書は、東京工業大学2012年度前期の授業をもとに、「日経新聞」に連載した「池上彰の教養講座」(2012年5月14日~9月3日)を大幅に加筆、修正したものです。