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献本いただきました。ありがとうございます。

藤川真一 / 100万人から教わったウェブサービスの極意 ~「モバツイ」開発1268日の知恵と視点

ユーザー数140万人を誇るウェブサービス「モバツイ」。ケータイ電話からツイッターに接続するサービスとして定番中の定番ですが、元々は会社勤めのエンジニアだった藤川真一さんが一人で始めたものです。ウェブサービスやアプリを作ってみたいという人はたくさんいます。しかし、成功するサービスはほんの一握りです。やる理由よりもやらない理由のほうがたくさんある中、いかにしてサービスを成長させて、ユーザーとの絆を作っていくのか。ウェブとソーシャルとプラットフォームの最前線からモバツイ成功の秘密が初めて語られます。

私がツイッターを使い始めたのは2007年3月でしたが、モバツイは登場した初期の段階からケータイを iPhone に切り替える(2009/8)まで利用していました。いつでもどこでもツイッターを使っていた人たちの「どこでも」はほぼモバツイのおかげだったと思います。私も外出中はフル活用でした。間違いなく日本におけるツイッター初期の最重要サービスです。歴史に刻まれるでしょう!

そのモバツイの生みの親による本書。

本書で描いているのは、モバツイを舞台とした、ポストウェブ2.0時代のウェブサービスクリエイターの考え方の一つです。
(p.5)
と前書きで書かれていた通りの本でした。著者の考え方はこの時代にウェブサービスを作る人々のスタンダードと言ってよいと思います。これから何かサービスを作ってみたいという人は参考に目を通しておくべき本です。

前半はウェブ2.0、ツイッター、モバイルというモバツイの基礎と言えるテーマについて俯瞰しつつ著者自身との関わりも語られています。すでに懐かしさも覚えますが、やはり同時代を生きているなと感じました。今思えば、ウェブ2.0の構成要素のうち少なくとも「マッシュアップ」はTwitter API登場あたりが最後の山でしたね。本書のモバツイもそうだし、Togetter とか、華々しいマッシュアップの季節の最後の花火みたい。それ以降、外部からガシガシいじれる面白いサービスは登場してないし、逆に各所から公開されていたAPIがだんだん終了になっていくばかり。この前半の章を読んでいくと一つの時代のおわりをしみじみと感じてしまいます。あの熱狂の時代はもうないんだなあと(個人的な感想です)。

後半はモバツイ自体についての運営サイドからの話。こういうサービスは毎日使ってくれる10人をスタートの拠点にすべし、という話は納得。その前に毎日使う1人、つまりは自分があるんですけどね。