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塩野七生 / わが友マキアヴェッリ-フィレンツェ存亡 / 中公文庫

一線を退いた人が優れた書物を書くというのはよくある話だが、
マキアヴェッリの場合は不本意な引退であり、しかも若かった。

この本は、彼の人生の転機を境に三部にわかれている。
この三部構成が非常にすっきりして分かりやすい。

第一部は「マキアヴェッリは、なにを見たか」。
当時のフィレンツェの歴史が解説され、主役の表舞台への登場を待つ。

第二部は「マキアヴェッリは、なにをしたか」。
官僚として大活躍の時期。さまざまな指導者との折衝などの経験を積む。
そして、政変による免職。

第三部は「マキアヴェッリは、なにを考えたか」。
不本意な引退。作家としての生活。「君主論」「戦略論」などの執筆。
そして最後にまた現場に。そしてルネッサンスの終焉。
マキアヴェッリが論じたことは活かされないまま…。

時代にマッチした人間とそうでない人間という「ローマ人の物語」でもよ
く取り上げられるテーマがこの時代にも出てくる。古代にしろ中世にしろ
現代にしろ時代は常に変わりゆく。それについていくことができるか否か。
普遍的なテーマであろう。

文庫ながらかなりのボリューム。しかし、退屈させない。
中公文庫版が絶版みたいで、現在は「塩野七生ルネサンス著作集」の
1冊として出版されているだけなようだ。
もっと幅広い人に読んでもらいたいのに残念。

わが友マキアヴェッリ-フィレンツェ存亡 塩野七生ルネサンス著作集


あと本文にも言及があるが、
チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷
を先に読んでおくと中盤の話が分かりやすい。
あと、「ルネサンスの女たち[2006-02-05-3]も同時代の話もあるので
良いかも。
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