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小泉武夫 / 人間はこんなものを食べてきた 小泉武夫の食文化ワンダーランド

食文化論の講義ネタを講義の語り口調を活かして再構成したものとのこと。
食品化学やら臭いものの話やらの脱線があいかわらず楽しいです。

人類が発明してきた保存法の話はサバイバルに役立つかも。
- 乾燥による方法。例えばスルメ。腐敗バクテリアがスルメにつくと、
  バクテリア内部の水分がスルメに引き出されて死ぬ。よって腐敗しない。
- 笹と竹。笹の葉は天然の乾燥剤。水分吸いだす。さらにポリフェノールが
  微生物殺す。
- 塩。
- 煙。燻す。燻製。なぜ腐らないのか、というとこれもまた煙にポリフェ
  ノール。乾燥の効果もあるが。
- 灰。灰を食べ物にまぶしておく。強烈な防腐剤。昔は切り傷に灰をなす
  りつけたものだ、とのこと。ジャガイモ植えるときも灰をまぶすね。

その他、氏の得意な発酵の話、持論の食文化多元起源説(p.88)、世界で一
番堅い食べ物「かつおぶし」のすごさ(p.103)、飲酒前に甘いもの(p.178)、
日本酒はなぜ日本でしかできないのか(p.188)、食事回数についての考察、
などが興味深いです。

日本酒ですが、仕込み水の中に微量(0.02ppm以上)の鉄が含まれるとだめで、この基準を満たすのは日本の水だけらしいです。むむ。

ちなみに私は小泉武夫プチファンです。講演会も 2 回行ったし。この本と同じ日経ビジネス人文庫だと、「食あれば楽あり」や「食に知恵あり」も面白いですよ。機会があればぜひどうぞ。