「電子書籍の衝撃」出版記念講演会に行ってきました
2010-04-06-1
[EventReport][Book]
「電子書籍の衝撃」出版記念の佐々木俊尚さんの講演会へ行ってきました(ref. [2010-04-03-2])。
■佐々木俊尚 / 電子書籍の衝撃
講師:佐々木俊尚(著者)
開催日:2010年4月6日(火)19:00~21:00(開場18:30)
会場:ディスカヴァー・トゥエンティワン 3階大ホール
(東京都千代田区九段南2-1-30 イタリア文化会館)
http://www.d21.co.jp/contents/bookclub/20100406.html
以下、ポメラによるメモ。
編集は最小限にして、ダダ漏れ中継っぽく貼付けておきます(手抜き?)。
■出版社社長、干場さんより挨拶。
今回は担当編集者でもあったそう。
ツイッターで「電子書籍」について書いてくれと依頼。
書き始めましたとメールきて、脱稿したとツイッター。
最近、D社のDという雑誌で電子書籍の特集が中止。
その原因となったと言われる取次の問題も一章をさいて説明されている。
お見逃しなく。
■佐々木さん登場。
本に書いていない話をなるべく中心に話していく。
電子書籍系のガジェットがいろいろ登場しているが、ガジェットを愛でるのもいいけど、本質はプラットホームそのものであり、ハードではない。
電子書籍の未来は先例に学べ。
直近の先例は音楽。iTunes とか。
もっと前の先例は「印刷」。
■印刷は何を変えた?
500年前くらいの話。
手書きから印刷へ変わったときに、得られたもの失われたものは?
(1) 手書きでの筆写という美しい工芸文化の消滅。
(危惧する論調が当時あった)
(2) 紙のような移ろいやすい媒体で本を読むなんて!
(石板・羊皮紙と比べ保存期間が短い)
(3) 聖書を一般信徒が読むなんて、冒涜もいいところだ。
(各自が読むようになって宗教革命の礎になった)
(4) 新技術や新理論を本当に史上初なのかを確認できるようになった。
ルネサンスの礎に。失われた知識の探求を印刷が可能にした。
(5) 王や教皇の言葉が文字として固定して流布したことで「先例を守る」というルールができた。
印刷の登場のときもまとはずれな危惧があふれてたんだから、今回の電子書籍への変化についても自分の感覚だけで語るな!
■タブレットの意味
電子書籍って、PCやケータイで読めばいいんじゃない?
タブレットとかいらなくない?
いやいや。
デザインは道具にあわせなければならない。
悪い例:iPhoneの産経新聞アプリ。読みにくい。
■マトリックス1
距離と姿勢とサイズ。
電子化されてないのは書籍の位置。
タブレットは書籍を代替するデジタルガジェット。
■マトリックス2
キンドルは書籍をそのまま代替するが、iPadは書籍をアプリ化する。
リッチ化。拡張本。
本は体系的な世界観を得るために読む。
本は著者の構築した世界。
マイクロ化はされない。
短編集や実用書は別。
リンク化される本というのはあるのか?
ウェブに新聞雑誌がくわれているのでアメリカでは雑誌がアプリ化している。
じゃあ書籍は?
NHKオンデマンドは使い勝手が悪い。
検索できない(あるけど質が悪い)。
ジャンルでさがそうとすると、人間・文化・社会。
大手が作るとダメになるという例。
アプリ化される本:辞書、地図、事典、絵本、教科書。
アプリ化しない本:文芸書をはじめとするほとんどの「読み物」。
書籍のコンテンツとしての統一性は強固で、そう簡単にはマイクロ化しない。
電子書籍はマイクロコンテンツ化してばら売りはない、というのが佐々木さんの現在の見解。
しかし、なにかすごいコンテンツ表現がゼロから出てくる可能性はある。
■三層モデルで考える話
コンテンツ=本の中身
コンテナ=印刷
コンベヤ=紙
コンテナが変わると劇的な変化。
写本→印刷→デジタル配信
デジタル配信になるとどうなるか。
アンビエント化。偏在化。
購入と読書が、つねにいつでもどこでも参照可能な世界に。
古いのと新しいのの境がなくなる。
■取次システム
取次システムは功罪があった。
本を雑誌の流通に乗せた。
大量流通のプラットホーム。
安価によい本が入るようになった。
大衆的な教養文化をもたらした。
しかしマスが消滅しつつある。
多品種少量のための流通プラットホームが必要。
電子書籍の登場で新しい流通システムが生まれるのを希望。
■コンテキストといっしょに消費される
商品そのものの魅力ではなく、文脈で売れている。
その本の背景事情、どう読めばいいのかの導線、得られる御利益。
パッケージ vs.コンテキスト。
※パッケージの意味に注意
キーワード:キュレーションジャーナリスト
コンテンツとコンテキストがまとめて消費される。
それはすでに書籍ではないが、コンテンツである。
新しい書籍文化につながっていく
■佐々木俊尚 / 電子書籍の衝撃
キンドルに続き、アップルiPad 登場。それは、本の世界の何を変えるのか?
電子書籍先進国アメリカの現況から、日本の現在の出版流通の課題まで、
気鋭のジャーナリストが今を斬り、未来を描く。
本が電子化される世界。
それは、私たちの「本を読む」「本を買う」「本を書く」という行為に、
どのような影響をもたらし、どのような新しい世界を作り出すのか?
講師:佐々木俊尚(著者)
開催日:2010年4月6日(火)19:00~21:00(開場18:30)
会場:ディスカヴァー・トゥエンティワン 3階大ホール
(東京都千代田区九段南2-1-30 イタリア文化会館)
http://www.d21.co.jp/contents/bookclub/20100406.html
以下、ポメラによるメモ。
編集は最小限にして、ダダ漏れ中継っぽく貼付けておきます(手抜き?)。
■出版社社長、干場さんより挨拶。
今回は担当編集者でもあったそう。
ツイッターで「電子書籍」について書いてくれと依頼。
書き始めましたとメールきて、脱稿したとツイッター。
最近、D社のDという雑誌で電子書籍の特集が中止。
その原因となったと言われる取次の問題も一章をさいて説明されている。
お見逃しなく。
■佐々木さん登場。
本に書いていない話をなるべく中心に話していく。
電子書籍系のガジェットがいろいろ登場しているが、ガジェットを愛でるのもいいけど、本質はプラットホームそのものであり、ハードではない。
電子書籍の未来は先例に学べ。
直近の先例は音楽。iTunes とか。
もっと前の先例は「印刷」。
■印刷は何を変えた?
500年前くらいの話。
手書きから印刷へ変わったときに、得られたもの失われたものは?
(1) 手書きでの筆写という美しい工芸文化の消滅。
(危惧する論調が当時あった)
(2) 紙のような移ろいやすい媒体で本を読むなんて!
(石板・羊皮紙と比べ保存期間が短い)
(3) 聖書を一般信徒が読むなんて、冒涜もいいところだ。
(各自が読むようになって宗教革命の礎になった)
(4) 新技術や新理論を本当に史上初なのかを確認できるようになった。
ルネサンスの礎に。失われた知識の探求を印刷が可能にした。
(5) 王や教皇の言葉が文字として固定して流布したことで「先例を守る」というルールができた。
印刷の登場のときもまとはずれな危惧があふれてたんだから、今回の電子書籍への変化についても自分の感覚だけで語るな!
■タブレットの意味
電子書籍って、PCやケータイで読めばいいんじゃない?
タブレットとかいらなくない?
いやいや。
デザインは道具にあわせなければならない。
悪い例:iPhoneの産経新聞アプリ。読みにくい。
■マトリックス1
距離と姿勢とサイズ。
リラックス | 集中 | |
距離遠い・画像大 | テレビ | ゲーム機 |
近い小 | ガラケー | スマートフォン |
近い大 | 書籍! | パソコン |
単方向・消費(オフ) | 双方向・発信(オン) |
電子化されてないのは書籍の位置。
タブレットは書籍を代替するデジタルガジェット。
■マトリックス2
キンドルは書籍をそのまま代替するが、iPadは書籍をアプリ化する。
リッチ化。拡張本。
フロー | ストック | |
線的コンテンツ | 新聞雑誌 | 書籍 |
リンクコンテンツ | ウェブ | ? |
本は体系的な世界観を得るために読む。
本は著者の構築した世界。
マイクロ化はされない。
短編集や実用書は別。
リンク化される本というのはあるのか?
ウェブに新聞雑誌がくわれているのでアメリカでは雑誌がアプリ化している。
じゃあ書籍は?
NHKオンデマンドは使い勝手が悪い。
検索できない(あるけど質が悪い)。
ジャンルでさがそうとすると、人間・文化・社会。
大手が作るとダメになるという例。
アプリ化される本:辞書、地図、事典、絵本、教科書。
アプリ化しない本:文芸書をはじめとするほとんどの「読み物」。
書籍のコンテンツとしての統一性は強固で、そう簡単にはマイクロ化しない。
電子書籍はマイクロコンテンツ化してばら売りはない、というのが佐々木さんの現在の見解。
しかし、なにかすごいコンテンツ表現がゼロから出てくる可能性はある。
■三層モデルで考える話
コンテンツ=本の中身
コンテナ=印刷
コンベヤ=紙
コンテンツ | コンテナ | コンベヤ |
---|---|---|
本の中身 | 印刷 | 紙 |
本の中身 | 写本 | 羊皮紙 |
本の中身 | 写本 | 石版 |
本の中身 | デジタル配信 | 電子機器 |
コンテナが変わると劇的な変化。
写本→印刷→デジタル配信
デジタル配信になるとどうなるか。
アンビエント化。偏在化。
購入と読書が、つねにいつでもどこでも参照可能な世界に。
古いのと新しいのの境がなくなる。
■取次システム
取次システムは功罪があった。
本を雑誌の流通に乗せた。
大量流通のプラットホーム。
安価によい本が入るようになった。
大衆的な教養文化をもたらした。
しかしマスが消滅しつつある。
多品種少量のための流通プラットホームが必要。
電子書籍の登場で新しい流通システムが生まれるのを希望。
■コンテキストといっしょに消費される
商品そのものの魅力ではなく、文脈で売れている。
その本の背景事情、どう読めばいいのかの導線、得られる御利益。
パッケージ vs.コンテキスト。
※パッケージの意味に注意
キーワード:キュレーションジャーナリスト
コンテンツとコンテキストがまとめて消費される。
それはすでに書籍ではないが、コンテンツである。
新しい書籍文化につながっていく
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