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癒し系です。

丹野清志 / 誰も教えなかった “自分流写真”の方法 [Kindle版]

本書は、型どおりのテクニックに縛られずに自由に写真を楽しむための方法を提案した本です。
身近な日常の中に被写体を発見していくテーマを基本に、いわゆる従来型の「写真教室」「写真の教科書」的なハウツーではなく、
著者自身が実践している写真を普通に楽しむための知恵やヒントを分かりやすく解説し、自分の写真に付加価値や気づきを与えてくれるヒント集です。

写真の技術的な話はなく、気張らず撮りましょうみたいなゆるめなエッセイです。カメラに関して昔気質な感覚を持っていたようですが、デジカメが浸透して写真を楽しむ人が増えてきたことにより、柔軟に考えを変えてらっしゃってて、そういうところが説得力あるなあと思いました。

電子的なテクノロジーが導入されるときの反発について、何箇所か記述があります。例えばこんな感じ。プロにとっては驚異だったんだろうなあと思いました。
昔ピント合わせが自動つまりオートフォーカス方式になった時、「ピント合わせは目できちんと合わせるべきである」と自動焦点機構のカメラを全否定した人が多かった。そりゃあそうです、いかに素早くピントを合わせることができるかを訓練してきた職人的撮影技法が自動化されることで崩れるのですから

昔とがらりと変わってもう戻れないのはスナップ写真の世界:
昔は写真といえばスナップ写真でした。何と言っても人間世界の様々な動きや表情や出来事をとらえた写真は面白いですからね。ところがそのスナップ撮影が、いま難しくなってきているのです。肖像権、というやつです。テレビ画面ではニュース画像でも周辺に写りこんだ人などの顔にボカシが入る時代です。
昔は、いかに相手にカメラを意識されないように撮るか、がウデの見せどころだったのですが、今では”盗撮”になってしまいます。望遠レンズである人だけを大きくとらえるなんてことはご法度です。

マナー違反の話。がっつり場所取りとかが邪魔ですね。そこは通る人の邪魔でしょ、と思うとことかにいる。あとは、前述の顔撮り。昔の感覚できてるのかも。
カメラという道具は時として暴力的なところがありますが、カメラを持つと何をやってもいいみたいな性格に変身するのでしょうか。マナー違反なんてあまいもんじゃない。マナー違反というととかく若い世代がどうのこうのとなりがちですが、写真の世界でそういうことをやる人はすべてシニア、高齢者世代だってことがなんとも情けない。

iPhone カメラ専門(そしてデジイチもコンデジもオート)の私にとって、非常に心強い言葉:
ベストの絞り効果と適正露出を得るにはマニュアル露出で撮るのが良い、と決めつける人もいる。しかし、撮り方を面倒にすればいい写真が撮れるなんてことはないのであって、絞りの調節にのみ神経を集中していたら、撮るだけの作業になってしまいます。
まずは自動セットで撮る。あれこれ作画を考えている間に撮る。続けて撮る。プログラムAEは、撮ることに集中するモードです。撮り続けていくリズムがいいシーンを発見するのです。

あといろいろ考えさせられる、「演出」の話。
ヘタな演出をするならやらないほうがいいというのが私の意見ですが、どうも断定できないようです。たとえば女の子たちを波打ち際や入試や成人式のシーンなどで一斉にジャンプさせて撮った写真は演出写真の定番ですが、それらジャンプ写真がいろんな写真コンテストで何度も入選しているから不思議です。 [...] なんだか月並みな演出でもいいのかなってことになる。そんなのはダメと言っている私としては困っちゃいます。
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