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なにげなく使い分けている接続詞のそれぞれの意味、役割、与える印象などについて、実例を用いて丁寧に解説。なるほどと思う点が多いです。私としては、それぞれの役割にそってだいたい正しく使っていたみたいで安心です。ある程度、文章を読んだり書いたりしている人にとっては使い分けは容易に思えますが、使い方を他の人(例えば子供)に教えるときに細かな違いの説明をするのはかなり難しいと思います。そういうときの参考書をして重宝しそうです。

石黒圭 / 文章は接続詞で決まる (光文社新書) [Kindle版]

「読む人にわかりやすく印象に残る文章を書くために、プロの作家はまず、接続詞から考えます」。ふだん何気なく使っている接続詞の具体的な役割を知り、効果的に使う技術を磨く。

Kindle 版を読みました。ページ数は多いのですが、例としての実際の文章の引用が多いので、それほど重くはないです。

以下、読書メモ:

論理の接続詞順接の接続詞だから系 それなら系
逆説の接続詞しかし系 ところが系
整理の接続詞並列の接続詞 そして系 それに系 かつ系
対比の接続詞 一方系 または系
列挙の接続詞 第一に系 最初に系 まず系
理解の接続詞換言の接続詞 つまり系 むしろ系
例示の接続詞 たとえば系 とくに系
補足の接続詞 なぜなら系 ただし系
展開の接続詞転換の接続詞 さて系 では系
結論の接続詞 このように系 とにかく系

「接続表現」
「とくに」をはじめとして、「とりわけ」「ただ」「むしろ」など、限定的な意味を表す副詞が文頭に立った場合、それを接続詞相当のものとしてとらえたほうが現実的です。実際、日本語を専門に研究する日本語学の世界でも、最近ではそうしたものを「接続表現」として一括するのが一般的になっています。

「接続詞のあいだを文で埋める」と考えてみるという話。
私たちは文章を書くとき、書くべき内容が先にあって、そのあいだを接続詞で埋めていくものだという漠然とした先入観を抱きがちです。しかし、逆の考え方はできないでしょうか。接続詞が先にあって、接続詞のあいだを文で埋めていくという発想です。
接続詞のみを見ていくだけで速読にもなる。

どう表記するかの話。著者の方針。参考にする。
接続詞というのは実質的な意味が希薄で、もっぱら文法的な機能を表すものだと考え、平仮名で書くことを原則としています。
漢字か平仮名かという選択とは別に、表記の面でもう一つ問題になるのが読点です。これも、私自身の好みになるのですが、文頭の接続詞にはかならず読点を打つことにしています。接続詞は先行文脈の内容を持ちこむものであり、接続詞だけで文相当の役割を果たしていると考えるからです。速読をしたときに、前後の文の関係がすぐにわかるので、実用的であるとも思います。

なるほど系メモ。
一つの段落に複数の逆接の接続詞を含んでいる文章で読みにくくなりがちです。
「一方」を大きな結びつきを表示するのに使った場合、より小さい結びつきは、「それにたいして」を使うと区別が明確になるのでお勧めです。
「たとえば」は、いくつか例が考えられるとき、そのなかから論旨が明確になりそうなものを一つを選んで示すものだからです。具体例が一つに限られる場合は、「具体的には」を使います。
先行文脈が、書き手の判断が入る未確定の内容の場合、「たとえば」を使うことは困難です。判断の論証には、「実際」「事実」という、事実によって論拠を示す接続詞が向いています。

あるあるw うちの子も突然「しかも」って言ってた。
累加の接続詞のなかで難しいのは、「しかも」でしょうか。私の娘が三歳になったばかりのころ、一度だけ「しかも」を使ったことがあり、周囲の誰もが驚きました。
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