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統計学の入門前の読み物。
ビジネスなどでの応用例が広く紹介されています。
最近(といっても去年の6月)出た文庫版を買って読みました。

イアン・エアーズ / その数学が戦略を決める

ワインの将来の価値を予測する。症状の統計から病気を診断する。脚本段階で興行収入を最大化する。そしてあなたに最適な結婚相手まで決めることも、「絶対計算」が可能にする!IT時代の兆単位のデータがもたらす新世界ビジネス戦略。イェール大学気鋭の計量経済学者がわかりやすく書いた知的大興奮の書!

統計学など数学を用いた予測と感覚や雰囲気に基づいた予測の対決の事例が楽しいです。まあ、武器(数学)を持った人と素手の人の戦いみたいな一方的なものだけどね。

本書の事例のように直感や経験というものが数学に負けているわけですが、まあ単に大量のデータを扱うことができる時代になったというだけです。人間には処理できない分量のデータを短時間で分析できるわけで、「長年の経験」なんてものはあっという間に凌駕されます。「直感主義者」は数値化されない、またはまだされてない場所を見つける力が重要です。

って、ありきたりの話になっちゃいましたが、本書はかなり面白くわくわくしながら読めますよ。理系じゃない人でも楽しめると思います。ぜひどうぞ。ほんと、オススメです。

ちなみに私の現在の仕事も本書の内容のような感じです。日々データと格闘ですよ。マイニング!マイニング!

以下、読書メモ(2件):

絶対計算結果を人間が裁量で撤回すると失敗することが多いという話はいろいろ考えさせられました。つまりデータを統計分析して得た「こういうときはこうしたらよい」という指針通りにやれば確率的にうまくいくんだけど、やはり人間としては機械に使われている感が嫌なんだよなあ。また、私みたいに自分でプログラムを書いて分析するような人は、直感に反する出力は大抵プログラムのバグだということが染み込んでいるので、なかなかシステムの言う通りにはできなくなっちゃう(信用できなくなっちゃう)かも。

「贈り物にはご用心!」という話は身に覚えがあるような。
 みんな無料のオマケは大好きだ----ほら業者が最高の顧客に送ってくるちょっとした贈り物だ。でも、売り手からほかの顧客よりいい扱いを受けていたら、心配した方がいい。絶対計算の世界では、売り手の販促は絶対にランダムではない。アマゾンが勝手にすてきな文鎮を送ってきたら、真っ先にこう思うべきなのだ。
「しまった、本を高値で買いすぎていたのか!」
(p.291)
データを押さえられてる状態であるという自覚をしっかり持って相手の行動の裏を読まないといけない時代ですね!