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「曲突徙薪無恩沢 焦頭爛額為上客耶」
曲突(きょくとつ)、薪を移すは恩沢なく、
焦頭爛額(しょうとうらんがく)、上客となすや
〔漢書{霍光伝}〕火災の予防策を献ずる者は賞を与えられず、
火災が起きた時に頭を焦がし額をただれさせて救った者は賞を与えられるということ。
根本を忘れて瑣末(サマツ)なことだけを重視することのたとえ。
(改訂新版 ことわざ・名言の泉 曲突徙薪に恩沢なし)
ストーリー → <http://www.uvas.ne.jp/u_communica/com112.htm>

地道な予防よりも起こった後の対処の方が目立つしかっこいいしありがたがられた、という話。これを読むと
「こういうパターンは良くない。やはり起こる前に対処するぞ!」
と思うよりも、
「そうか、焦頭爛額人間になってうまく立ち回ろう!」
と思いがち。まあ、こんな曲突な雰囲気だったら最適解でしょう。
ぎりぎりな事態を作り出して、それを劇的に解決する。
劇的になればなるほど、事態を起こした責任はどうでも良くなる。やれやれ。

結局は評価する側の問題だと思いますね。
こういう雰囲気をどれだけ変えていけるか、でしょう。
まずは自分で自分を評価するときから始めなきゃな。

...

などとそれらしくまとめた後なんだけど、
この「曲突徙薪」の話にはちょっと気になる点が。
火事の後に家主が焦頭さんを上客としてもてなす。
そのとき誰かが「本当の上客は忠告をくれた人だろが」みたいな指摘をして家主がしょぼんとする。
うーむ。大円団でめでたしめでたしなんだから、感動に水を差すのはいかがなものか、とも思う。
自業自得な結果でも、当事者には感動も幸せも満足感もあるだろう。
「お前アホか」と言うのはこらえて、自分の中で教訓としておくのが吉。
これが自分に関係することだったらこの限りではない。ガツンと言っとけ。

なお、私は直接原典をあたったわけではないので見当違いなことを述べているかもしれません。あしからず。

■曲突メモ

- 転ばぬ先の杖
  <http://www.uvas.ne.jp/u_communica/com112.htm>
- 問題が起きていないことに対しての評価(2)
  <http://diary.godtomato.net/takefumi/2003/02/03_05.html>
- Cowboy Coders (2)
  <http://www.radiumsoftware.com/0406.html#040608>
  ドラゴンと死闘(対処) or 数年前にドラゴンの卵を破壊(予防)

- 木村剛: 経済対策と曲突徙薪について。 投資戦略の発想法 (p.266)
- ワインバーグ: バグを直すのが得意な奴とバグを出さない奴
  プログラミングの心理学
- ワインバーグ: 曲突とソフト開発
なぜわれわれは自分でプログラムに持ち込んだ誤りを取り除くために
徹夜するプログラマや、自分たちの下手な管理ゆえに生じた危機を
解消するために組織上の大変革をするマネージャーに報償を与えるのだろうか。
またなぜわれわれは、劇的な誤りが生じないようなよい設計をした
プログラマや、組織を危機状態に陥らないように保っている
マネージャーに報償を与えないのだろうか。
組織作りの主題は、問題を解くことではなく問題を回避することなのだ。
  スーパーエンジニアへの道 (p.200)
- タルムード[2003-08-10-4]
要領のいい人間は、賢い人間だったら絶対におちいらないような困難な状況を、うまく切る抜ける人のことである

- サポートセンターが充実・高評価なタイマー付き製品
- セキュリティホールが見つかったら徹夜で直すぜ
- はじめはだらだらやっといて直前になってから徹夜だとか食事抜きとか獅子奮迅の活躍、という戦略

- 「焦頭爛額是上賓」「焦頭爛額座上客」「無功澤」などのバリエーションあり。
- 中国語のサイトを検索するときは簡体字に注意。「無」や「頭」とか。