古い記事
ランダムジャンプ
新しい記事
読み終わりました (ref. [2008-02-16-3])。
オススメです、これは。

速水健朗 / 自分探しが止まらない


自分探しにハマッてしまう人たちについて考察した本です。
本書は「自分探し」を絶賛したり、
あるいは愚かな行為としていきなり軽蔑するのではなく、
個々の事例を眺め、
社会や文化に「自分探し」がいかに浸透しているのかを分析する。
(p.5)
「タイアップの歌謡史」[2007-01-13-5]と同様に、
あいかわらずクールでドライな文体で淡々と飛ばしています。
日本の「自分探し」の歴史を一望でき、ためになります。
ここまで粘着して大量の「自分探し」ネタを
収集してまとめるってのは並大抵のことではないです。
粘着力の強さとスルー力の弱さが光り輝いています。
とにかく、この手軽なサイズの新書で、
これだけ凝縮した情報が得られるんなんてお得すぎます。
ポジティブシンキングな人もそうでない人も必読です。

この本は「自分探し」DISなのではなく、行き過ぎへの警鐘である、
と私はとらえました。
要するに、過ぎたるは及ばざるがごとし。
「健康のためには死んでもいい!」的な本末転倒な状況にならなければ
適度な自己啓発知識も人生のスパイスとしては良いですよね。
筆者は自己啓発セミナーや海外放浪など安易にポジティブ・シンキングに
逃げ込む姿勢を批判してきたが、ポジティブ・シンキングそのものを
否定しているわけではない。むしろ、こういう世の中を生きるために
欠かせない武器こそ、「自分探し」に振り回されず、
前向きに生きる姿勢であると信じている。(p.213)
いやー、まったくです。