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米原万里 / 魔女の1ダース-正義と常識に冷や水を浴びせる13章

見慣れた風景の中に異分子が混じることによって、見えていなかったもの
が、見えてくる。素っ頓狂な出来事や、意外な発見や、驚きの再発見があ
るのではないか。そうやって常日頃当然視している正義や常識に冷や水を
浴びせてみたい。
てなわけで、イスタンブールの日本人、モスクワのベトナム人、マニラの
スイス人などの異邦人エピソードをベースに、異文化コミュニケーション
の難しさについて楽しく書かれたエッセイです。笑えます。

§

著者はロシア語通訳。駄洒落の通訳は難題。
「スウェーデン食わぬはオランダの恥ってなもんだ、ハハハハ」
など翻訳不可能。そんなときは、
「ただいま、スピーカーは語呂合わせをやりましたが、通訳不可能です。
申し訳ございませんが、ムードを盛り上げるため笑ってやってください」
などとお茶を濁すそうな。さすがプロ!

§

ある言語の単語が他の言語でのシモネタワードになることが多いそうです。
とりあげられていた例からいくつか:
- 日本の民謡の「ホイホイ」という合いの手でロシア人爆笑。
  →「ホイ」は男根をあらわすロシア語の俗語と響きが似ている。
- ビールや地名の「エビス」。 →ロシア語では f*ck の命令形!
- 「日本ではスープのだしは何?」「カツオという名の魚…」で大爆笑。
  →イタリア語の男根の響きに近い。「タツヲ」もピンチか!?
- 日本映画上映会で、主人公の少年が母親に向かって「かかあ!」
  →「カカア」はロシア語で「う○こ」。

なぜシモネタ関係単語は他言語でヒットしやすいのか。その理由について
考察されています。以下の二つの理由、
(1) シモネタ関係はいかなる言語においても語彙が豊富である。
(2) シモネタに限らず日常的で身近な事物をあらわす単語はいかなる言語
    においても短い。
により、異なる言語間で偶然の音韻の一致・類似が起こる確率が高くなる!
なるほどーーーー!!!