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献本いただきました。ありがとうございました!
利益(売上だけでなく)をどう生み出すか、という本です。

勝間和代 / 勝間式「利益の方程式」


売上だけにこだわって利益は気にしない、という状況にあまり実感がわきませんでしたが、日本の会社の現場ではそれが一般的なのかもしれませんね。
成長期には売上UPが利益UPに単純に結びつくので、売上追求で良いのですが、時代が変わった今となっては、やはり根本の「利益」にフォーカスせねば!ということです。

以下、読書メモ:

勝間式「万能利益の方程式」は、
利益 = (顧客当たり単価 - 顧客当たり獲得コスト - 顧客当たり原価) * 顧客数
会計のいろいろな費目を顧客ベースの4つの項目に単純化して考える、
というところがポイントですね。
どんな規模のビジネスでも使えるフレームワーク、とのこと。
なお、日々の行動の目安とするためのものなので、
おおざっぱな計算でOK。正確な計算にこだわらなくても大丈夫。

顧客獲得コストこそが現代ビジネスの特徴という話。
一番儲けがあるのはこのコストがほとんどただの商品。
リピーターがいたり、ユーザがクチコミで広めてくれたり。
よく、華々しくテレビコマーシャルをやっている会社の業績が悪化したり、
場合によっては倒産するケースがあります。しかし、私の感覚からすると、
「高いテレビコマーシャルを打たないと顧客を集められないような
ビジネスなのだから、要注意である」ということにほかなりません。
(p.59)

成功とは:
いつも思うのですが、成功というのは、成功するまで仮説→実行→検証を繰り返すことではないかと思います。
(p.86)

価格(値段付け)について:
「価格は高くてもいいんだよ。なぜなら、価格が高いほど、
顧客はいいものを買ったと満足するからね」
 もちろん、質の悪いものを高い価格で売ることは論外でしょうが、
高い質のものであれば、顧客がその価値を納得すれば、原価に関係なく、
顧客の価値に合わせた価格を付けることができます。(p.93)
他と比べ安いからといって買った製品がトラブルを起こすと、選んだ人の責任問題になるという、IBMの話を思い出しました。

高い単価を得ることができる市場として「コンプレックス」市場(p.104)。
薄毛、肥満、英語、モテ、教育などなど。
自己啓発書の一定したニーズもこれ(ref. [2008-02-18-3])。

顧客から見た時のポジショニングを利用して感じる価値を上げる作戦(p.113-)。寒天は食品としてみると高くできないが、ダイエット食品として位置づけるとお得な商品と見えるわけで、ここの差でうまくやる。携帯電話の高額な通話料金もデート代金の代わりと位置づければ、安上がりに感じさせることができる。
なるほどなー。

顧客原価の削減には人件費が一番重要。
人を雇って余剰人員が出たりするとやっかいなことに、
多くの人は暇だと耐えられないので、顧客の価値にならない仕事を
勝手に自己増殖的に作っていってしまうのです。
[...]原価管理の中で最も効くものを一つあげろと言われたら、
「なるべく人を少なくすること」に尽きると思います。(p.199)

顧客原価を下げるには、オーバースペックを避けるのも重要。
任天堂の例が出てきて分かりやすいです。
いずれにせよ、原価を低減させるためには、
「過ぎたるは及ばざるがごとし」です。
しかし、起業の中で一人ひとりの社員がまじめに自分たちの
人事評価をよくしようとして仕事をすればするほど、
実はこの過剰の罠に陥ってしまいます。(p.181)
内部の評価を最優先する人が活躍しすぎるとなかなかねえ。

§

この本は、利益だけの話ではありません。
「はじめに」を読むと、利益にこだわることで、仕事の効率を上げ、空いた時間でその分さらなる仕事をしちゃわずに、人間らしい生活にあてるというワークライフバランスの実現を目指しているのが分かります。
「効率化で目指すのはあくまで人生の潤い」ですね[2008-05-11-4]