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興味のある分野なので読んでみました。

岡嶋裕史 / 構造化するウェブ

ウェブがどこから来て、どこへ行くのか、
過去から未来へと紡がれるウェブの進化の系譜を、
技術に基づいてできるだけ平易に解説していく。(p.7)
という方向性の本です。
「技術に基づいて」というところがポイントですね。
ウェブ進化論[2006-02-08-4]などの本と比べ、より技術的な内容に比重が置かれています。
とはいえ、難しい説明はありません。
Webまわりの技術に苦手意識がある方でも安心して読めます。
逆に言うと、この分野にある程度詳しい人にとっては簡単すぎかと。

扱われているテーマは、
疎結合と密結合、SOA、モジュール化、オブジェクト指向、
セマンティックウェブ、XML、ウェブ2.0、ウェブサービス、
マッシュアップ、AJAX、SOAP、UUDI、WSDL、などなど。
(なお、それぞれの末尾に「(笑)」をつけると悲しくなるのでやめましょう)

プログラムが読みづらくなるのは、
裁判所の判決文が読みにくいのと同じ、
という指摘にはなるほどーとうなづかされます(p.35)。
そりゃあ内輪の決まり事に則って「正確」に書くと、
外からは読みにくくなりますよね。
可読性を高めるにはそのための労力が必要。

章タイトルにもなっている
SOA (Serivicde Oriented Architecture) とは、
「サービスに立脚してシステムの構造を作っていこう」的なもの (p.52)。
ここでの「サービス」は専門用語です。
機能の提供を特定の場所で行い、かつ、
コンピュータ(プログラム)に対して機能を提供するのが
ここで言う「サービス」。
で、SOAとオブジェクト指向との違いがかなり丁寧に説明されています。
Web時代はSOA!なのですよ。

あと、セマンティックウェブの話は、まあ、なんといいますか、
現実はなかなか難しいですよねえ。
「フェアではないかも」と断り書きがありますが、
この本ではセマンティックウェブは「挫折」、と書かれています。
スパッと。
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