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保阪正康 / あの戦争は何だったのか-大人のための歴史教科書

現在の大衆化した社会の中で、正確な歴史を検証しようと試みるのは難し
いことかもしれない。歴史を歴史として提示しようとすればするほど、
必ず「侵略の歴史を前提にしろ」とか「自虐史観で語るな」などといった
声が湧き上がる。しかし戦争というのは、善いとか悪いとか単純な二元論
だけで済まされる代物ではない。あの戦争にはどういう意味があったのか、
何のために三一〇万人もの日本人が死んだのか、きちんと見据えなければ
ならない。 (p.8)

右とか左とかそういうのを抜きに、純粋に「歴史」としての
あの戦争を通して読みたかったので、読んでみた。
ともかく私はこのあたりをちゃんと勉強した記憶がない。
「六波羅探題」は何か分かっても
「大本営」って何かちゃんと説明できなかったし。

というわけで、旧日本軍の仕組み、「軍令/軍政」「統帥権/統治権」、
二・二六事件、ミッドウェー、ガダルカナルなどなど何かと新鮮。
教科書的に淡々と歴史の流れが書かれているのも良い。

読んでみて、当時の日本の中枢について、これじゃダメダメだな、
と思うところ多し。組織としての問題がいろいろ。
精神論や根性論がはびこり、滅びゆく大企業のような様相。

この本全体の印象としては、
説得力が足りないなと思う記述もあるけど概観を得るには良いかな、
と言ったところ。私みたいな人にはさくっと読めておすすめ。

アマゾンのカスタマーレビューを見てみるとコアな人からの評価は低い。
でも、これらコアな人のコメントには非常に参考になるものも。読後に
読むと良いかと。
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