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さまよえる湖

2003-11-09-2 [Book]
スウェン・ヘディン / さまよえる湖 / 角川文庫


スウェーデンの探検家ヘディンの手記。まだ地図に空白地帯が残っていた時代。前半はいかだで川を下っていってロプ湖探検。後半は車で陸路。最後にロプ湖についての議論の歴史。背景知識がないと分かりづらい箇所もあるので、まずは最後のロプ湖についての議論 (十七、十八章)、あとがき、解説から読むのがオススメ。

ロプ湖は砂漠にある行き詰まりの湖。4 世紀ごろに昔の位置から移動した。
この湖の移動で楼蘭などのシルクロード沿いの街は滅びた。
移動の原因は川の流れが途中で変わったこと。
旧ロプ湖とそこへ通じる支流は干上がって、代わりに別の川と湖が誕生。
湖自体が移動するのではなく、水が移動するのである。

というような、湖移動説を著者のヘディンは主張していたのだが、学会の受けは「ふーん」という感じだった。
ところが、彼の存命中に川の流れが再び元の支流に戻って、旧ロプ湖が復活し、彼の説の正しさが証明された。なんというかすごい偶然。

ロプ湖

探検のテクニックとしてなるほどと思ったのは、帰りや次回のために途中に物資を隠しておく、ということ。
カヌーはすべて水に沈めていく。こうしておけば、風雨や太陽にいためつけられることはあるまい。みんな湖底に打ち込んだ杭にしっかり縛りつけた。後日、再び訪問のさいに、この場所にカヌーとテントと小麦粉の用意があるように、とのつもりである。
(十一章)
峠の南側に、二十三リットル入りのガソリン缶を一本埋めておいたので、それを取り出して、タンクの中へあけた。
(十一章)
われわれは第百二十四号キャンプに帰るためのガソリンを千二百三十リットル埋め、五百リットルだけ携帯することにした。
(十四章)

印象的な言葉:
たった一つの基地もない未知の地方を旅行するときには、たしかに食料や水やガソリンや潤滑油が必要である。しかしそれと同時にもう一つそれがなくては、他のいっさいの物の価値がなくなるほどのあるものが必要である。それは忍耐である。むしろ超人的といってよい忍耐力である。
(十四章)
これを取り上げて論じれば、ビジネスパーソン的書評も可能!
それはそうと、一度でいいからどこか探検してみたいなと思ったが、忍耐力ないからあきらめておく。