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Kindle ストアに米原万里の未読のエッセイがあったので何冊か購入。今回読んだのはこれ。「食」に関するエッセイ集。

米原万里 / 旅行者の朝食 [Kindle版]

その名を聞いただけでロシア人なら皆いっせいに笑い出す「旅行者の朝食」というヘンテコな缶詰や、数十年前たった一口食べただけなのに今も忘れられない魅惑のトルコ蜜飴の話、はたまたロシアの高級輸出品キャビアはなぜ缶詰でなく瓶詰なのかについての考察や、わが家を建てる参考にとはるばる神戸の異人館を見に行くも、いつのまにか食べ歩きツアーになっていたエピソードなど、ロシア語通訳として有名な著者が身をもって体験した、誰かに話したくなる食べ物話が満載です!

好奇心と探究心が旺盛な人だったんだなあ、としみじみ。例えば、本のタイトルになってる「旅行者の缶詰」という話。なぜか「旅行者の缶詰」という言葉で大受けするロシア人。その謎の解明までミステリー並みの緊張感。と言うと、まあ言い過ぎだけど解明過程がワクワクテカテカで面白いのです。楽しみを奪わない範囲で書くと、これってロシア内の内輪ネタなわけで、日本でもこういうのあるよなあと思ったりラジバンダリ。

目次:
卵が先か、鶏が先か
ウォトカをめぐる二つの謎
旅行者の朝食
キャビアをめぐる虚実
コロンブスのお土産
ジャガイモが根付くまで
トルコ蜜飴の版図
夕食は敵にやれ!
三つの教訓と一つの予想

ドラキュラの好物
ハイジが愛飲した山羊の乳
葡萄酒はイエス・キリストの血
物語の中のリンゴ
サンボは虎のバター入りホットケーキをほんとに食べられたのか?
ヘンゼルとグレーテルのお菓子の家
狐から逃れた丸パンの口上
「大きな蕪」の食べ方
パンを踏んで地獄に堕ちた娘
キャベツの中から赤ちゃんが
桃太郎の黍団子
『かちかち山』の狸汁
『おむすびコロリン』の災難

神戸、胃袋の赴くままに

人類二分法
未知の食べ物
シベリアの鮨
黒川の弁当
冷凍白身魚の鉋屑
キッチンの法則
家庭の平和と地球の平和
日の丸よりも日の丸弁当なのだ
鋭い観察眼
食い気と色気は共存するか
氏か育ちか
無芸大食も芸のうち
量と速度の関係
叔父の遺言

あとがき、または著者による言いわけ

これまでに読んだ米原万里本