エレベーターの非常ボタンってつい間違えて押しちゃうよねー
2008-10-14-2
[Opinion]
使いやすいインタフェースというのを考える際、
ポイントの一つに「ユーザによる間違いを少なくする」
つまり、「ユーザが間違った使い方をしないような設計」
というのがあると思います。
寝ぼけてたり、酔っぱらったりしてても、
間違った操作をしてしまわないような仕掛けとかありますよね。
これって、ものすごーく重要な要素だと思います。
普段からそういう視点でいろいろ観察してて、
「これってユーザに間違いをさせないようになってる!」
というのを見つけると、
その設計に感心してひとり悦に入っていたりするのです。
で、東京ミッドタウンのエレベーターの話。
この写真を見てください。
行き先階ボタンの上に、扉を開くボタン、閉めるボタンが配置され、
その上に非常用ボタン(受話器のアイコン)があります。
![エレベーターの非常ボタン](images/2008-10-14_2307.jpg)
どう考えてもこれは間違えて押してしまいます。
「閉めるボタン」を押したつもりが「非常用ボタン」で、
センターにつながっちゃって、
「どうしました?」とスピーカーから心配され、
「すいません、押し間違えました」と弁明するときの
いたたまれなさといったらありません。
「あー、やっちゃったよ、こいつ」的な冷たい空気が
エレベーターという逃げ場のない閉鎖空間にただよいます。
あいたたた…。(経験者談)
とはいえ、これは押し間違えない方がおかしい。
インターフェースの問題です。
デザインが悪いのです。
私も悪くないし、あなたも悪くない。
このような、
たび重なる間違いにうんざりした当局(誰?)により、
あるとき非常用ボタンにカバーが付きました。
![エレベーターの非常ボタン](images/2008-10-14_2308.jpg)
透明なプラスチックカバーを上にあげないと
非常用ボタンが押せなくなりました。
つまり、
「ユーザが間違った使い方をしないような設計」
が実現されたわけです。
これで、寝ぼけてたり、酔っぱらったりしてても大丈夫です。
(野暮ながら念のため書いておきますが、
オフィスのエレベーターなので酔っぱらって乗ることありません)
こういうのって、後から考えれば、
「始めからそうしろよ!」って思うんだけど、
なかなか難しいってのは経験上よくわかります。
ただ、人にしろ組織にしろ「学習」します。
やってみてダメだったところは直していく。
度重なる間違いと、それによるウンザリ度の蓄積が、
インタフェースを正しい方向に導くのです。
改善!かいぜん!KAIZEN!
まあ、ともかく、これでもう
いたたまれない思いをすることがなくなり、
我々利用者も精神的に非常に安定して、
日々楽しく暮らすことができるようになりました。
めでたし、めでたし。
こういう話の参考文献として、
D.A.ノーマンの一連の著作を挙げておきます。
インタフェースデザインする人は
みんな何冊かは目を通しているはず。
- 誰のためのデザイン?
- テクノロジー・ウォッチング [2003-08-10-2]
- 人を賢くする道具 [2003-10-19-3]
- パソコンを隠せ、アナログ発想でいこう [2003-09-02-2]
- エモーショナル・デザイン [2004-12-19-2]
「誰のためのデザイン?」は少なくとも押さえておきたい定番書。
ポイントの一つに「ユーザによる間違いを少なくする」
つまり、「ユーザが間違った使い方をしないような設計」
というのがあると思います。
寝ぼけてたり、酔っぱらったりしてても、
間違った操作をしてしまわないような仕掛けとかありますよね。
これって、ものすごーく重要な要素だと思います。
普段からそういう視点でいろいろ観察してて、
「これってユーザに間違いをさせないようになってる!」
というのを見つけると、
その設計に感心してひとり悦に入っていたりするのです。
改善前
で、東京ミッドタウンのエレベーターの話。
この写真を見てください。
行き先階ボタンの上に、扉を開くボタン、閉めるボタンが配置され、
その上に非常用ボタン(受話器のアイコン)があります。
![エレベーターの非常ボタン](images/2008-10-14_2307.jpg)
どう考えてもこれは間違えて押してしまいます。
「閉めるボタン」を押したつもりが「非常用ボタン」で、
センターにつながっちゃって、
「どうしました?」とスピーカーから心配され、
「すいません、押し間違えました」と弁明するときの
いたたまれなさといったらありません。
「あー、やっちゃったよ、こいつ」的な冷たい空気が
エレベーターという逃げ場のない閉鎖空間にただよいます。
あいたたた…。(経験者談)
とはいえ、これは押し間違えない方がおかしい。
インターフェースの問題です。
デザインが悪いのです。
私も悪くないし、あなたも悪くない。
改善後
このような、
たび重なる間違いにうんざりした当局(誰?)により、
あるとき非常用ボタンにカバーが付きました。
![エレベーターの非常ボタン](images/2008-10-14_2308.jpg)
透明なプラスチックカバーを上にあげないと
非常用ボタンが押せなくなりました。
つまり、
「ユーザが間違った使い方をしないような設計」
が実現されたわけです。
これで、寝ぼけてたり、酔っぱらったりしてても大丈夫です。
(野暮ながら念のため書いておきますが、
オフィスのエレベーターなので酔っぱらって乗ることありません)
こういうのって、後から考えれば、
「始めからそうしろよ!」って思うんだけど、
なかなか難しいってのは経験上よくわかります。
ただ、人にしろ組織にしろ「学習」します。
やってみてダメだったところは直していく。
度重なる間違いと、それによるウンザリ度の蓄積が、
インタフェースを正しい方向に導くのです。
改善!かいぜん!KAIZEN!
まあ、ともかく、これでもう
いたたまれない思いをすることがなくなり、
我々利用者も精神的に非常に安定して、
日々楽しく暮らすことができるようになりました。
めでたし、めでたし。
参考文献
こういう話の参考文献として、
D.A.ノーマンの一連の著作を挙げておきます。
インタフェースデザインする人は
みんな何冊かは目を通しているはず。
- 誰のためのデザイン?
- テクノロジー・ウォッチング [2003-08-10-2]
- 人を賢くする道具 [2003-10-19-3]
- パソコンを隠せ、アナログ発想でいこう [2003-09-02-2]
- エモーショナル・デザイン [2004-12-19-2]
「誰のためのデザイン?」は少なくとも押さえておきたい定番書。
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