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森博嗣 / 大学の話をしましょうか -最高学府のデバイスとポテンシャル / 中公新書ラクレ


工学部助教授兼ミステリ小説家の森博嗣。
(今世紀になってから森博嗣小説ぜんぜん読んでない...)
最近大学を辞めたとのことで、本書ではインタビュー形式で研究のあり方や
大学の抱える問題など、大学論を展開しています。
「出たー!科研費話!」などなど。

以下つまみ食い的書き抜き。

働かない若者に対しての考え:
働かなくても良い環境があれば、誰だって働きたくない、それは至極当然
のことではないでしょうか? (p.22)

教育の効率について:
体験学習は、効率がとても悪い、同じ時間で伝えられる情報が少ないわけ
です。そのデメリットにはあまり着目されていません。 (p.45)
ビジュアルにアピールするっていうのは、テレビ感覚なんですね。
言葉で説明すれば一瞬で伝達できるものを、わざわざ絵を見せ、
動画を見せ、時間をかけて、効率を落として伝えるわけです。 (p.48)
テレビの情報番組のまどろっこしさよ!

問題を見つける能力について:
もう何度も書いていることですが、人間の知的能力は、問題に答えること
ではなく、問題を見つけることである、というのが僕の考えです。問題を
解決する能力は、いずれは知識や過去の事例を集積したコンピュータによっ
てなされるのではないか、と思います。そうなると、人がすべきことは、
何が問題なのか、何を考えれば良いのか、ということになるわけです。(p.54)
研究とは、何を研究したら良いのかを見つければ、峠はもう過ぎていると
考えても良いくらいだ。問題を解決する人間よりも、問題を見つける、
問題を作る人間の方が、少数であるが、明らかに上位となる。(p.67)
確かに問題を見つけることは重要ですね。
だらけてしまうのは取り組むべき問題が見えてないからというのが多いかも。
となると、自らがトラブルメーカーになって問題を作りまくるのはどうだ
ろうか。って、違うかー。

大学について:
申請書を書くことが、教授・助教授の仕事の大半だと言って良いでしょう。
(p.91)
たとえば、なにかのイベントを行うことになる。そうすると、正論がどん
どん出てくる。こうあるべきだ。これもあった方が良い。それはそのとお
りなんです。でも、そんなことを全部していたら大変じゃないですか、
という感情論は通りません。ですから、自分で自分の首を絞めるようなこ
とになる。みんなが正論を持ち出すわけですね。会社だったら、社長が
一言「無理だ」「くだらん」で却下でしょうけれど、そういう絶対的な
リーダーがいないのが大学の組織なのです。 (p.101)
たとえば、空調設備がない教室や製図室があっても、それは予算請求には
挙がりません。それよりも、なにか新しいイベントを考えろ、新しい
アイデア、キャッチコピィを考えろ、そういった「まやかし」で予算を
請求して、おこぼれを使って、クーラくらい入れてやる、という考え方
なのです。(p.114)
大学だけとも言えないかも。他の組織でもこういうことあるかもしれませ
んね。