たつをの ChangeLog : 2015-01-24

そろそろこういう記事が出るんじゃないかと妻と話していたところに颯爽と登場。スルー推奨の記事です。


まずは前半の話。

東京都内で内科医を開業する医師は、ワクチンそのものに疑問を投げかけている。
「世界保健機関(WHO)のホームページを見ても、『ワクチンで、インフルエンザ感染の予防はできない。また有効とするデータもない』と書いてあります。

前にも書きましたが厚生労働省のインフルエンザQ&Aのページにはこんな記述があります。

  • インフルエンザQ&A|厚生労働省
    http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou01/qa.html
    体の中に入ったウイルスは次に細胞に侵入して増殖します。この状態を「感染」といいますが、ワクチンはこれを抑える働きはありません。
    ウイルスが増えると、数日の潜伏期間を経て、発熱やのどの痛み等のインフルエンザの症状が起こります。この状態を「発症」といいます。ワクチンには、この発症を抑える効果が一定程度認められています。
    中には肺炎や脳症等の重い合併症が現れ、入院治療を必要とする方や死亡される方もいます。これをインフルエンザの「重症化」といいます。[...]。ワクチンの最も大きな効果は、この重症化を予防する効果です。
    以上のように、インフルエンザワクチンは、接種すればインフルエンザに絶対にかからない、というものではありませんが、ある程度の発病を阻止する効果があり、またたとえかかっても症状が重くなることを阻止する効果があります。ただし、この効果も100%ではないことに御留意ください。

この説明では、ウイルスの「感染」から「発症」という流れがあって、「感染」は防げませんよ(「発症」はある程度抑えられるけど)、ということでした。

WHO のどこかのページにこの厚生労働省Q&Aみたいな説明があって、それを見て「ワクチンで、インフルエンザ感染の予防はできない。また有効とするデータもない」と書いてある、と言っているのかな。

もしそうなら、医者の考えなのか記者の考えなのか分かりませんが、ひどいミスリードですね。「感染」という言葉の取り扱いの問題で読者を混乱させる作戦。

WHO のホームページの話が出ていたので、ワクチンの効果を肯定的に書いてある箇所を見てみましょう。


訳すと「インフルエンザワクチンは感染(infection)を防ぐ最も効果的な方法です」とのこと。この infection は前述の正確な意味での「感染」ではなく、世間一般で認識されている発症まで含めた意味での「感染」なのでしょうね。


追記150125: きちんと調べた方の記事がありました。前述のような話ではなかったみたい。現実はもっとしょぼくてひどい。人間界で流行のインフルエンザとは別なやつ。ほんと悪質なミスリード。
  • ネットでインフルエンザワクチンは効果がないと言うデマが広まった件 (Windows 2000 Blog)
    http://blog.livedoor.jp/blackwingcat/archives/1889831.html
    『予防できないし、まだ有効性が確認できてない』という文言が完全一致!
    まさかの、高病原性鳥インフルエンザww。


後半の話。

一部の医師は20〜30%は予防効果があると主張しているが、母里氏はそれすらも否定しているのだ。また、老人ホームで行った調査で、50〜60%重症化を防ぐ効果があったとするデータがあり、それをワクチン接種の意義と唱える医師も多いが、母里氏は脳症などの重症化を防ぐ効果はまったくないと述べている。

こちらに関しては、WHO よりも説得力のあるきちんとしたデータで論じて欲しいです。

以上。

関連記事



たつをの ChangeLog
Powered by chalow