現在の大衆化した社会の中で、正確な歴史を検証しようと試みるのは難し いことかもしれない。歴史を歴史として提示しようとすればするほど、 必ず「侵略の歴史を前提にしろ」とか「自虐史観で語るな」などといった 声が湧き上がる。しかし戦争というのは、善いとか悪いとか単純な二元論 だけで済まされる代物ではない。あの戦争にはどういう意味があったのか、 何のために三一〇万人もの日本人が死んだのか、きちんと見据えなければ ならない。 (p.8)