「火ゆうのはな、かたちが自由なんや。自由やから、見ているほうの心次深いねえ、焚き火。
第で何にでも見える。順ちゃんが火を見ててひっそりとした気持ちになる
としたら、それは自分の中にあるひっそりとした気持ちがそこに映るから
なんや。そういうの、わかるか?」
「うん」
「でも、どんな火でもそういうことが起こるかというと、そんなことはな
い。そういうことが起こるためには、火のほうも自由やないとあかん。ガ
スストーブの火ではそんなことは起こらん。ライターの火でも起こらん。
普通の焚き火でもまずあかん。火が自由になるには、自由になる場所をう
まいことこっちでこしらえたらなあかんねん。そしてそれは誰にでも簡単
にできることやない」