河合 いまの若者たちもやっぱりデタッチメントの気分は非常に強いですデタッチメントは「関わりのなさ」。村上春樹の初期の小説の主人公とか。
よね。コミットするやつは、極端に言えば、バカだと、そのぐらいの感じ
があるんじゃないでしょうか。デタッチメントであるのを、クールであっ
て格好いいことのように思っている。
村上 ただ、九五年はオウム事件と阪神の大地震がありました。あれはま
さにコミットメントの問題ですよね。
河合 そうです。そこにものすごい反動のようなものが出たんですよ。ふ
だんデタッチの状態でいるような若者たちが、ものすごくコミットしたん
です。
河合 [...]みんなが集まるというときに、ちょっとサボっていると、おま
えは付き合いが悪いとか。つまり個人の自由を許さなくなるんですよ。全
体にベタベタにコミットしているやつが立派なやつで、自分の個人のアイ
ディアでなんかしようとするやつは、それは異端になってしまうでしょう。
ところが、その点、欧米のコミットする人は、個人としてコミットしま
すからね。来るときは来る、来ないときは来ないというふうにできるんで
すよ。
村上 それぞれいろいろな事情をもってボランティアに参加していても、
週に三回来られる人と一回しか来られない人がいて、三回来られる人がい
ばるというのが出てくるのですよね。