(これは、異端に関するエッセイである。いかにして禁じられたアイディ
アを考え、それによって何をするか。後者は、近年まではごく少数のエリー
トが考えれば良いことだった。しかし現在、誰もが考えなければならない
ことになった。 Webによって誰もが意見を公表できるようになったからだ。)
口にできないことを発見したら、それをどうしたらいい? 私のアドバイス
は、それを口にしないことだ。あるいは少なくとも、戦いを選んでするこ
とだ。
最も重要なことは、考えたいことを考えられる、ということであって、言
いたいことを言える、ということではない。考えたことを全部言わなくちゃ
ならないと思っているなら、それは不適切な考えを抱くことを却って邪魔
してしまう。逆の方針を取ったほうが良いだろう。考えることと、話すこ
との間にはっきりとした線を引くんだ。頭の中では、全て許される。私は
自分の頭の中では、思い付く限り最もとんでもない考えを押し進めるよう
にしている。でも、ちょうど秘密結社みたいに、その中で起きたことは外
には漏らさない。ファイトクラブの最初の規約は、ファイトクラブについ
て喋らない、ということだ。
最良の選択は、その時に熱狂している人々には与しない、とはっきり言っ
ておき、しかしいったいどの点に同意しないかについてはぼかしておくこ
とだろう。熱狂した人々はあなたを議論に引っ張り込もうとするだろうが、
答える必要なんてないんだ。もしそういう人々が、彼らの言葉によって問
題を定義して「賛成か反対か」とあなたに迫ったなら、いつでも「どちら
でもない」と答えることができる。
もっと良いのは、「まだ決めていない」と答えることだ。