「パラダイス鎖国」の一番危険な点は、外部への興味を自らシャットアウトすることで、外の世界の情報と隔絶され、バランス感覚をなくすことだ。みんなが外のことを積極的に知るようになれば最終的にはなんとかなるかなあ。
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また1ヶ月も更新をさぼっていたのは、毎年夏の日本での休暇のため。- パラダイス的新鎖国時代到来(その3)- なお超えがたき言語の壁
毎年夏に帰るごとに、「日本はどんどん住みやすくなっていくな・・」
とぼんやり思っていたが、今年の夏は決定的に、「日本はもう住みやすくなりすぎて、
日本だけで閉じた生活でいいと思うようになってしまった」、
つまり誰からも強制されない、
「パラダイス的新鎖国時代」になってしまったように感じたのだった。
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日本が住みやすい社会になってきたというのは、とてもいいことである。
アメリカも最近、別の意味(政治的)で孤立を深めているが、その前から、
今の日本の「パラダイス的鎖国」に近い現象が見られた。
アメリカ人が圧倒的に外国語が下手なこと、世界でただ一ヵ国、
いまだに「ポンド・ヤード制」を使っていることなど、いろいろその証左がある。
つまり別の言い方をすれば、日本が「アメリカ化」しているのかもしれない。
しかし、ホントにそれはいいことなのだろうか?
アメリカは、パラダイス鎖国でも別に困らない。- パラダイス的新鎖国時代到来(その4)- 産業編・携帯電話端末のケーススタディ
世界中の人が英語を勉強してくれるし、
外国出身者やバイリンガルの人を内部化しているし、
なんといっても世界の最強国だからみんな興味を持たざるをえない。
しかし、日本はそうはいかない。きちんと英語で発信できないと、
ますますrelevancyは低下してしまう。
一方で、日本ではiモードが花開き、薄型で美しい液晶を搭載し、
音もきれいで高機能な電話機が次々と出る。サービスでも端末でも、
日本のケータイは「世界一」になった。
日本の国内市場が成長するスピードについていくのに、メーカーも必死である。
どの方式を開発すればいいかさえ決められない、アメリカなど、
相手にしている暇はなかった。日本は世界をリードする携帯技術を手に入れたが、
先に行きすぎて、他の市場を捨ててしまったという皮肉な結果になった。
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日本の大手メーカーはアメリカでの地位を失い、欧州でも苦戦、
一方日本ではどんどん進んだ端末が出る、という、
典型的な「パラダイス鎖国」状態となってしまったのである。