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コンピュータとアートのこれまでの歴史と著者の取り組んでいることとこれから先の未来のこと。解説書でもあるし、所信表明でもある。かなり面白かったです。刺激的でワクワクします。

落合陽一 / 魔法の世紀 [Kindle版]

〈映像の世紀〉から〈魔法の世紀〉へ--。第二次世界大戦が促したコンピュータの発明から70年あまり。人々が画面の中の現実を共有することで繋がる「映像の世紀」は終わりを告げ、環境に溶け込んだメディアが偏在する「魔法の世紀」が訪れる。

本書の題名である「魔法の世紀」について。「映像の世紀」の次、コンピュータによるいろいろ混ざったものによる表現の世紀。SF作家アーサー・C・クラークによる「充分に発達した科学技術は、魔法と見分けがつかない」も引き合いにしつつ。
僕がこの本で書こうとしているのは、そんな「映像の世紀」としての20世紀の次に訪れる、21世紀の社会についてです。目を凝らせば、これから起きる転換がどんなものかが見え始めています。僕はそれを「魔法の世紀」と呼んでいます。
「魔法の世紀」とは、「映像の世紀」においてイメージの中で起こっていた出来事が、物質の世界へ踏み出して行く時代なのです。
「魔法の世紀」の最終到達点は、コンピュータ科学という名の統一言語で、知能・物質・空間・時間を含む、この世界のありとあらゆる存在と現象が記述され、互いに感応し合うことです。僕の活動の目的は、コンピュータの記述範囲を広げることで場と場、モノとモノが相互作用する可能性を切り開いていくことにあります。

「歩きスマホ」についての洞察に、なるほどー。
その一方で、我々は今スマホを持ちながらも動きたがっているようにも思います。これが「歩きスマホ」などの問題でも表出し始めていて、ここでいかにビジュアルにおけるウォークマンのような装置を再発明できるのかが問われている気もしています。とはいえ、それがHMDのようなものか、それとも環境からのアプローチになるのかはわかりません。ただ、「動」と「静」の議論の中にある問題は、こういうふうに次のメディア装置の形を示唆しているのです。

カラーの写真が何枚かあって、カラーじゃないと分かりづらかったりするので、それらだけは白黒Kindle端末ではなくPCやスマホのKindleアプリで見ると良いかと。

目次:
第1章 魔法をひもとくコンピュータヒストリー
第2章 心を動かす計算機
第3章 イシュードリブンの時代
第4章 新しい表層/深層
第5章 コンピューテショナル・フィールド
第6章 デジタルネイチャー
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