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若い人(学生)向けの金銭教育の本。お金とのつきあい方が分かります。お金や人生に苦労した著者なだけに説得力あります。

西原理恵子 / この世でいちばん大事な「カネ」の話 [Kindle版]

「生まれて初めて触ったお金には、魚のウロコや血がついていたのを覚えている」--お金の無い地獄を味わった子どもの頃。お金を稼げば「自由」を手に入れられることを知った駆け出し時代。やがて待ち受ける「ギャンブル」という名の地獄。「お金」という存在と闘い続けて、やがて見えてきたものとは……。「お金」と「働く事」の真実が分かる珠玉の人生論。

以下、引用と感想。

なにはともあれ、貧しさは敵なわけです。
貧しさは、人からいろいろなものを奪う。人並みの暮らしとか、子どもにちゃんと教育を受けさせる権利とか、お金が十分にないと諦めなければいけないことが次から次に、山ほど、出てくる。それで大人たちの心の中には、やり場のない怒りみたいなものがどんどん、どんどん溜まっていって、自分でもどうしようもなくなったその怒りの矛先は、どうしても弱いほうに、弱いほうにと向かってしまう。
貧しいところでは、だから、子どもが理不尽な暴力の、いちばんの被害者となる。
貧乏人の子は、貧乏人になる。
泥棒の子は、泥棒になる。
こういう言葉を聞いて「なんてひどいことを言うんだろう」と思う人がいるかもしれない。でも、これは現実なのよ。
お金が稼げないと、そういう負のループを断ち切れない。生まれた境遇からどんなに抜け出したくても、お金が稼げないと、そこから抜け出すことができないで、親の世代とおんなじ境遇に追い込まれてしまう

お金の余裕は心の余裕。こういう話を聞くと、いつもベンジャミン・フランクリンの言葉「空の袋は真っすぐには立ちにくい (An empty sack cannot stand upright.)」を思い浮かべます。多すぎる必要はないけど、お金があることは大切。

お金を無視することはできないけどとらわれてしまってもいけない。お金とのつきあいかたは結局はバランス感覚。
人間、誰だってちょっとでも「得をしたい」って思うものでしょ。だけど、うかうかと一線を越えちゃうと、ダムに空いた小さな穴みたいに、そこから金銭感覚って崩れていってしまうものなんだよ。
だから、そうならないためにも、日常生活の中のひとつひとつの習慣が、本当にとても大事になってくる、というわけ。

金銭感覚を養うためにも、著者の言う通り、学生のうちにアルバイトなど「お金を得る」経験をするのは良いことだと思います。私も自分の子供になるべく体験させたいと思っています。
アルバイトそのものは、わたしは自分の子どもにも、どんどん、やってほしいと思っている

ここ数年の私のスローガンは「配られたカードで最善を尽くす」です。
だけど、たまたま配られた札がぜんぶマイナスだったら、それをいつまでも嘆いてたってしょうがないよね。ひっくり返してプラスにすることを、考えなくっちゃ

仕事について。やらなきゃ分からない。
「才能」って、人から教えられるもんだって。
いい仕事をすれば、それがまた次の仕事につながって、その繰り返し。ときには自分でも意識的に方向転換をしながら、とにかく足を止めないってことが大事。
そうやっているうちに、わたしにも、自分の道がだんだん、ハッキリ見えてきた。

というわけで、示唆に富みまくりな本でした。良著。
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