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「MAKERS」[2012-11-29-1]を読んで3Dプリンタ熱が高まってきたこともあり、これ読みました。ブログ「POLAR BEAR BLOG」でも知られる小林さんによるテーマを絞ったレポートです。「3Dプリンタとは何か」みたいな話は前提として省略されていて、本題みっしりの内容となっています。

小林啓倫 / 3Dプリンタの社会的影響を考える - 英国の政策レポートをもとに [Kindle版]

 設計図を与えてやるだけで、三次元の物体を製造することができる「3Dプリンタ(三次元プリンタ)」が注目を集めている。安価だが高性能の製品が登場し始めたことで、個人でもものづくりに参加できるパーソナル・ファブリケーションの時代が到来すると期待されているためだ。さらに3Dプリンタを始めとしたパーソナルな工作機械の普及により、「新しい産業革命」が到来すると予測する人も少なくない。
 しかし革命とは二面性を持つものだ。様々な恩恵をもたらす一方で、暗い影の面も必ず存在する。それでは3Dプリンタが起こす革命によって、私たちにはどのようなメリットと、どのようなデメリットがもたらされ、そこからどのような課題が生まれてくるのだろうか。2012年10月に英国で発表された政策レポートをもとに、パーソナル・ファブリケーションが社会に与える影響を考えてみたい。

3Dプリンタの負の側面の社会的影響に興味がありました。

「時間と場所に依存せずに製造ができる」という3Dプリンタの特性から、製造の現場、つまり働き方が変わってしまう人が多数出て、そういう意味での社会的影響ってのもありますが、やはり「3Dプリンタで作られるもの」による社会的影響影響が気になります。

本レポートによれば、やはりだれでも武器が作れてしまうってのが大きいですね。1回しか撃てない拳銃と言えでも、誰でも手にできるなら社会ががらっと変わりますからね。化学系で毒物が作れるってのもちょっと怖いけど、こちらはまだ広まるのは時間がかかりそう。

こういう「怖いもの」以外では「著作権上やばいもの」の影響もじわじわ来そうです。模造品だらけになりそう。レポートにあるように、DRM的なものが広まるのかなあ。DRM抜きのプリンタ作ってからガンガンコピー商品作る、ってなって終わってしまいそうだけど。

目次:
まえがき

本書の焦点について

第1章 3Dプリンタの利用形態

 1-1 デスクトップ型
 1-2 ショップ型
 1-3 工場型

第2章 3Dプリンタによるものづくりのメリットとデメリット

 2-1 メリット
  2-1-1: 特殊な物品の製造
  2-1-2: 製品のカスタマイズ
  2-1-3: 時間と場所に依存しない製造
  2-1-4: ビジネスの効率化
  2-1-5: 環境問題への貢献
  2-1-6: 新たなビジネスの創出

 2-2 デメリット
  2-2-1: 危険な物品の製造
  2-2-2: 製造物責任をめぐる混乱
  2-2-3: 製造現場での混乱
  2-2-4: 輸送業の混乱
  2-2-5: 雇用へのプラス/マイナス効果

第3章 3Dプリンタの社会的影響

 3-1 知的財産権
 3-2 製造物の規制
 3-3 製造物責任
 3-4 標準化
 3-5 素材の進化
 3-6 関連インフラの整備

あとがき

補足コラム(随時アップデート中)