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タイトルの通りヤフートピックスの編集の裏側の話です。そして、「ニュース」というものについていろいろと考えさせされる本です。

奥村倫弘 / ヤフー・トピックスの作り方

ひと月の閲覧数が45億ページ、ひと月の訪問者数が6970万人--今や日本最大級のニュースサイトと言っても過言ではないヤフー・ニュース。なかでも13 文字×8本のニュース見出しを中心とした「トピックス」は、絶大な影響力を誇る。ニュースサイトは数あれど、なぜ「ヤフー・トピックス」は圧倒的なひとり勝ちができたのか?なぜ新聞やテレビを凌駕する媒体力を得ることができたのか?ついクリックしてしまう13文字の作成ノウハウ、そしてジャーナリズムとビジネスを両立させることの苦悩を、当事者自らエピソード満載で書き下ろす。

ヤフートピックス編集部の作業は、(1)ニュースの選択、(2)関連ページを探してリンク、(3)コンパクトな見出し作成の3つに分けられます。

まずは、トピックス編集部での仕事内容をドキュメンタリー風に紹介してくれています。これが臨場感があふれてて、「なるほどー、こうやって作られているんだー」とまるで見学に行ったかのような納得感が得られます。どういう基準でニュースを選ぶか、どういうタイミングで出すか、関連ページをどうやって持ってくるか、実際の事例で説明されているのですごく分かりやすいです。緊急事態も想定して大阪にも編集作業するオフィスがあるとは知らなかったなあ。

そしてヤフトピの肝であるコンパクトな13文字タイトルの作り方。これはなんというか日本語の素養が相当ないと大変ですね。「いよいよ」「ついの」などの感情を刺激する言葉は使わない、「!」は使わない、といった余計な装飾を削ることに労力がかかっています。かなりストイックですね。見出して釣る必要はないので、誠実さが重要とのこと。曖昧な言葉は同時に使う言葉の選択でうまく解消するという話。例えば「野村」。監督とか証券会社とか。これは頭が疲れるわー。自然言語処理(統計情報)で半自動化くらいはできそうだけど、精度を考えると「無い方がマシ」で終わりそう。

ニュースの価値の話は考えさせられます。重要と思われるニュースはあまり読まれず、エンタメ系の軽いニュースはたくさん読まれるというのがアクセス数で如実に分かってしまいます。アクセス数を稼ぐことを第一目的にしてしまうと「ジャンクフード・コンテンツ」ばかりになってしまい、ニュースサイトとしての信用が問われるようになります。当たり前の話ですが、目先の数字ではなく、確固としたぶれない軸を持ち、バランス良く配信するしかありません。こういうのは自動化は難しそうですね。