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現在の日本の置かれている立場の俯瞰と展望。
私にとっては復習と新たな視点。

山本一郎 / ネットビジネスの終わり

新聞記事をインターネットで読む、テレビの代わりに無料動画を見る、欲しい商品はネットの通販で購入する……。インターネットの普及により、私たちの暮らしは便利になった。だが、それで本当に人生は楽しく、豊かなものになっただろうか。著者は次のように記す。
「誰もが自由にアクセスでき、開放された社会の実現と言えば聞こえはいいのだが、実際には黒字化の経営努力の乏しいベンチャー企業が豊富な市場からの資金調達余力で既存ビジネスのダンピングを繰り返し、従来からある産業基盤を緩やかに破壊してきたにすぎない」。
赤字でも存続が許される甘やかしを、「夢」と混同してはならない。
インターネットが社会を徐々に分断化し、破壊へと向かわせるとすれば、それらを利用したビジネスも早晩、社会から必要とされず、消えゆくのみである。
本書は予言の書ではない。いま現実に起こっているビジネスにおける地殻変動を、大局的な観点より読み解くものである。

以下メモ。

- 2年前の本だけど、たった2年でいろいろ進んでいるなあ。多すぎると言われている日本の携帯電話端末事業もどんどん統合されてる。最近は東芝の撤退の話題があった。でも「なし崩しの敗者連合」なんだろうな。

- 出版業界。同じ業界で会社が多すぎ。利益水準に比べて従業員が多く給料が高い。

- 新聞(アメリカ事例)。カジュアルな情報=タダで得られる。専門性のある情報=新聞記者では厳しい。ウェブの無料記事は購読の拡大にまったくつながらない。新聞社のコスト(記者給与など)でウェブに進出すると割りに合わない。

- アニメ業界。コストでは実写に負け、需要が少ないので収益も低い。産業基盤として自立できない、と。仕事を受注すればするほど赤字。日本国民は他国と比べてあまりアニメを見ない。一部のコアな人がたくさんみる構図。

- 「ネットに関するイノベーションは現在ほぼ停滞している」。停滞というよりも、必要なもので重要なものはすべて出尽くしたということだと思う。ネットのつながる(人と人、人と情報)という機能は効率はともかく完成しているし。

- 「情報革命で国家が転覆したとか人が何千万と死んだというような話を聴いたことがない」。道具として国家転覆にも使えるってことが最近示されたくらいか。一般人間の結びつきが容易になって大きなことが起こすための敷居が低くなったわけで。
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