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「ドイツ気象局による放射性物質拡散予測」というのがあります。
この図が頻繁にネットで話題になります。

ドイツ気象局による放射性物質拡散予測(例示)

- ドイツ気象局による放射性物質拡散予測
http://www.dwd.de/wundk/spezial/Sonderbericht_kon1.png
http://www.dwd.de/wundk/spezial/Sonderbericht_loop.gif

話題になるたびに遠方なのに「放射能が来る!もうだめだ!」とパニックになる人が見受けられます。

しかしこの図は現在の気象状況で仮に大量の放射性物質が放出されたときにどう拡散するのかの予測です。実際の放射性物質の到来を予測するものではありません。震災直後のように実際に大量に放出された場合は重要な情報になりますが、今現在はそうではないので単なる参考情報です(現場近くはまた状況が違うかもしれませんが)。

図の右下に注意書き(ドイツ語と英語)があります。
英語の注意書きは下記の通り(太字は私による):
Important note: The illustration does not allow conclusions on the real concentration of radioactive particles in the air, because the strength of the source is unknown. It is only shown how a fictive emission is distributed at the reactor and diluted depending on current weather conditions.

「the strength of the source is unknown」の部分、直訳すると「ソースの強さは分からない」、つまり「原発から出ている放射性物質の量は分からない」。なので実際の放射性物質の到来予測に使うな(does not allow conclusions)、と書かれています。単に「a fictive emission」、つまり「仮想的な放射性物質の放出」の振る舞いを示しているだけ、とのことなので、この図をもって「日本はもう終わりだ!」と煽ってはいけませんね。

こういう予測図は原発事故の初期の段階に出ればよかったんだけどなあ。今後は大きな爆発などないかぎりは、この手の予測図よりも、定期的に実測値を観察して急激な変化に注意する方が重要かと思います(いつもここ見てます→ http://atmc.jp/)。

追記110601:
「放出され続けたとして」という仮定が正しいそうです。
- 山本堪 : ドイツ気象庁 (DWD)による粒子分布シミュレーションの日本語訳
http://www.witheyesclosed.net/post/4169481471/dwd0329
良く見られる「大爆発・大放出があったとして」という表現は正確ではありません。図が相対的なものである以上、放出規模の大小の仮定は意味を為さないからです。正しくはただ単に「放出され続けたとして」です。

【おまけ】エキサイト翻訳(http://www.excite.co.jp/world/english/)による日本語訳:
重要な注意: イラストは、空気中の放射性粒子の本当の集中のときに結論を許容しません、ソースの強さが未知であるので。 それは現在の気象状況によって、虚構の放出がどのように原子炉で分配されて、希釈されるかが示されるだけです。

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