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マーケティングパラダイムの変遷。
マスメディアメイン「プッシュ・プル」
→顧客との関係構築と維持「リレーションシップ」
→市場で最高の製品を購入できるよう支援「アドボカシー」 < いまここ!

ということで、献本いただきました。ありがとうございます!
「正直ビジネス」についての本。
顧客をあざむいた商売ではなく、信頼を重視した正直な商売が良いんじゃない?という内容です。

山岡隆志 / 顧客の信頼を勝ちとる18の法則-アドボカシー・マーケティング-


舌を噛みそうでちゃんと発音できなくて困る「アドボカシー・マーケティング」とは、顧客との間に信頼を築くことを目的としたマーケティング手法。アドボカシーとは、企業と顧客がコミュニケーションすること。「アボカド(果物)」や「アドぼかし(広告をぼかす)」ではありません。ご注意下さい。
別に目新しい話ではなく、昔の近所の客向け商店みたいに相手の身になって、ときには自分の利益にならないかもだけど、悪い面もつつみかくさず、市場でベストのモノを売る信頼第一の商売。

本書の内容は、アドボカシーの考え方に沿った法則紹介とうまくやってる企業の事例。
18個の法則が紹介されているのですが、私が重要だと思うのは、
5番目の「透明性の法則(欠点も含め、ありのままを伝える)」と
12番目の「GIVEの法則(最高のアドバイザーになる)」ですね。

前者の事例の一つが、直江津の工場で爆発火災事故を起こした信越化学工業。事故直後、原因調査中の段階から、事故につながりうる「ヒヤリハット」に関する緊急社内アンケートを行って、その改善策をまとめただけでなく、これらの社内情報を一般公開。すばやく、ありのままに、が大切ですね。
あとは、東京、神奈川などで展開しているスーパー「オーケーストア」のポップ。「貯蔵リンゴのため、最盛期に比べて、果肉のシャキシャキした食感が少なくなっています」「来週から割安となるので、お急ぎでなければ買い控えをお勧めします」などの購買意欲をそぐけど正直なポップを出すことによって信頼感を得て、
業績が伸びたそう。

後者の事例の一つはアメリカの自動車保険会社プログレッシブ社の自社ウェブサイトでの他社との保険内容比較ページ。不利な面も含めて競合他社としっかり比較しているだけでなく、他社へのリンクが張ってあるところが顧客メリット第一主義。
特筆すべき点は、競合他社サイトのURLまで教えているところです。自社のウェブサイトに競合他社のURLを記載することは、企業倫理で言えば通常タブーとされる方法です。しかし、顧客メリットを第一に考えたサービスによって、米プログレッシブは透明性が非常に高い会社と評価され、顧客の信頼を得る結果となりました。 (p.169)

その他:
- Z会のSNSはうまくいっている。OB,OGがアドバイスする。
- 電気設備資材メーカーの未来工業では「ホウ・レン・ソウ」は禁止。
- クレームへの親切対応が顧客の信頼を高めるという話。本書とは関係ないけど、タイマーが入ってて時間がたつと壊れる製品で有名だった某社は丁寧で迅速なカスタマーサポートで評判が良かったけど、これってわざとやっているのでは、という話が昔あったなあ。
- ドラッカーの言葉(引用の引用。「マネジメント:課題・責任・実践」より)
販売とマーケティングは逆です。[...]マーケティングの理想は、販売を不要にすることです。マーケティングが目指すものは、顧客を理解し、製品とサービスを顧客に合わせ、おのずから売れるようにすることです。
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