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酒に謎あり

2009-01-02-4 [BookReview]
「もやしもん」と言えば小泉武夫先生ですが、
その小泉先生によるお酒の話。

小泉武夫 / 酒に謎あり


酒にまつわる、歴史、素材、醸造、道具、文化などを
エッセイの形で分かりやすく紹介!
楽しいです!

過去の文献に載っている酒を
自分の研究室・教室でつくってみたという話はアカデミックで良いですね。
やはり、読むだけじゃなく実践、ということで。

例えば、口噛みの酒。
ご飯などを口でくちゃくちゃかんで、
唾液とともにペッ吐き出しためておくとお酒になるというもの。
古文書では噛み手は女性ということで、
女子学生たちがせっせと噛んで作ってみたところ、
10日でアルコール度数9パーセントの酒ができたとのこと。
女子学生のレポートより:
■感想
 「口噛み」作業は大変である。
 3分間、噛み続けるのも、何か本を読みながらなど、
気を紛らわしながらやらないと結構苦痛となる。
 なおも続けると、頭、特にこめかみに痛みを感じるようになり、
「ああ!これが“こめかみ”なんだ」とこめかみの語源、
由来らしき状態を実体験できる。
 4分間、一生懸命に噛み続けるとほとんどペースト状となり、
もう噛めない。
他にも、平安時代の御酒(トロリとした甘い酒になる)や、
塩を加えて作る「御酒糟」などもつくってますね。

華道、茶道みたいなものとして酒道というのもあったそうな。
足利末期から始まったみたい。酒の場の礼儀も重要!!

「武家飲酒肝要記」(文化二年、1805年)に書かれていた
(現代医学からみても説明がつく)二日酔いがらみの記述:
- 防止:背を丸めず、背筋をのばして正しい姿勢で飲む
- 治癒:正座して深呼吸しながら長唄を歌う
- 宴中、宴後に汁粉、干芋、干柿、羊羹、落雁、甘酒、飴のような甘味

中国の白酒(パイチュウ)の奥深さに感銘を受けました。
あと、吟醸酒のときに40%まで精米する理由もなるほど納得。
火事場の芳香エステル成分ですね。
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