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上・中・下巻に分かれた「ローマ人の物語 - 迷走する帝国」[2008-09-05-3]の三冊目。
上巻[2008-09-08-2]→中巻[2008-09-13-2]、の続き。

塩野七生 / ローマ人の物語(34) - 迷走する帝国(下)


いろいろと大変な間にガリア帝国ってのができちゃって、さらに東のペルシアとの間にパルミラ王国ってのができちゃって、という感じでローマ帝国が三分割されてしまいました。
まあ、その後なんとか統一して元通りになるんだけど、その間もその後も短いスパンで皇帝が、有能だろうがそうでなかろうが、どんどん殺されたりして変わっていく。

というわけで、「迷走する帝国」はおしまい。
23人の皇帝が入れ替わり立ち替わりの73年間の物語でした。
不安定な時代でした、とさ。
いやー、もう悲しすぎる。

最後の章だけ独立しているので軽く現況。
次回のディオクレティアヌス帝から本格的に扱われると思うんだけど、キリスト教について。
「なぜキリスト教がローマ帝国で勢力を拡大できたのか」
が説明されています。
いろいろな説が紹介されていて、さもありなん的なのですが、一カ所だけ引用。
キリスト教がその後も長きにわたって勢力をもちつづけているのは、いつまでたっても人間世界から悲惨と絶望を追放することができないからでもある。ということは、「パクス・ロマーナ」が完璧に機能していた時代のローマ人には、キリストの教えは必要なかったということであった。だからこそ、イエスの死から二百年が過ぎてようやく、キリストの教えに魅かれるローマ人が増えてきたのだ。 (p.213)

さーて、終末へ一直線。
次回の配本を待ちつつ日々を過ごしていきます。


■新潮文庫版「ローマ人の物語」一覧
(1) ローマは一日にして成らず(上) [2002-05-31-1]
(2) ローマは一日にして成らず(下)
(3) ハンニバル戦記(上) [2002-08-01-3]
(4) ハンニバル戦記(中)
(5) ハンニバル戦記(下)
(6) 勝者の混迷(上) [2002-09-30-4]
(7) 勝者の混迷(下)
(8) ユリウス・カエサル ルビコン以前(上) [2004-09-03-1]
(9) ユリウス・カエサル ルビコン以前(中)
(10) ユリウス・カエサル ルビコン以前(下)
(11) ユリウス・カエサル ルビコン以後(上) [2004-10-05-5]
(12) ユリウス・カエサル ルビコン以後(中) [2004-10-07-4]
(13) ユリウス・カエサル ルビコン以後(下) [2004-10-08-3]
(14) パクス・ロマーナ(上) [2004-11-28-4]
(15) パクス・ロマーナ(中)
(16) パクス・ロマーナ(下)
(17) 悪名高き皇帝たち(一) [2005-09-11-2]
(18) 悪名高き皇帝たち(ニ)
(19) 悪名高き皇帝たち(三)
(20) 悪名高き皇帝たち(四)
(21) 危機と克服(上) [2005-12-07-4]
(22) 危機と克服(中)
(23) 危機と克服(下)
(24) 賢帝の世紀(上) [2006-09-07-2]
(25) 賢帝の世紀(中) [2006-09-09-3]
(26) 賢帝の世紀(下) [2006-09-10-2]
(27) すべての道はローマに通ず(上) [2006-11-13-2]
(28) すべての道はローマに通ず(下)
(29) 終わりの始まり(上) [2007-08-29-4]
(30) 終わりの始まり(中)
(31) 終わりの始まり(下)
(32) 迷走する帝国(上) [2008-09-08-2]
(33) 迷走する帝国(中) [2008-09-13-2]
(34) 迷走する帝国(下) [2008-09-17-1]