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齋藤孝による、「座右のゲーテ」[2006-03-27-1]、「座右の諭吉」(未読)に続く座右シリーズ。
今回はニーチェです。

齋藤孝 / 座右のニーチェ


ニーチェについてはまったく知識がなかったので、非常にためになりました。

§まえがきより:
思うに、ニーチェほど毎日に効く思想を唱えた人はいない。
ニーチェを知りたいと思ったとき、理論を完璧に理解しなくてもいい。全体像がつかめなくても構わない。
むしろ、一つのアフォリズム(注:箴言)を座右の銘にし、大事にしていくことだ。「これは効く」と思ったことばを、そらんじるほどになれればなおいい。
ビジネス書の世界には、「すぐに○○できる」「こうなるためのメソッド○か条」という謳い文句があふれている。
しかし、そうした書物が何十万冊も束になろうと、ニーチェのアフォリズム一句の重みにかなわないと、ニーチェに触れれば触れるほど感じるに違いない。

§言葉いろいろ:

自分自身を信じない者のことばは、つねに嘘になる。
(ニーチェ)
発した言葉により、そういう人かどうかが最近少し分かるようになった気がします。

人は、愛することができない場合には、そこを----通り過ぎるべきなのだ。(ニーチェ)
どうでもいいことはスルー!スルー力!
…みたいなものか(ちと違う)。

「小さい人間」について(p.62)。
ニーチェは根拠なき批判に明け暮れる人間を「小さい人間」と呼んだ。
力強い存在を前にすると、相手は自分がいかに卑小な者かと気づく。
すると、彼らは自分の力のなさを他人のせいにして、そんな感覚を抱かされた相手に復習しようとする。
ネットや週刊誌では、スキャンダルを暴くのが日常だ。
嫉妬心や復讐心を露わにしても恥ずかしくないというこの風潮は、ニーチェが批判している「小さな人間」が大挙して社会の表に出てきてしまった状態だ。ネガティブさに歯止めがかからない回路ができてしまっていることが恐ろしい。
確かに、ブログ界隈にも「小さい人間」はいますよね。
自戒を込めて。

飛ぶことを学んで、それをいつか実現したいと思う者は、まず、立つこと、歩くこと、走ること、よじのぼること、
踊ることを学ばねばならない。----最初から飛ぶばかりでは、空高く飛ぶ力は獲得されない。
(ニーチェ)
これ、感じることが多いですよね。
まず基礎を学べよ、的な。
近道しても最終的には遠くへは行けない。
基礎と周辺分野を押さえなければまだ見ぬ先端へは行けない。
自戒を込めて。

君たちはただ創造するためにのみ学ぶべきだ。
(ニーチェ)
アウトプット!アウトプット!

評価は創造である。
君たち、創造する者よ、聞け。
評価そのものが、評価を受けるいっさいの物事の要であり、精髄である。
(ニーチェ)
作品をきちんと評価するのも創造。
人をきちんと評価するのも創造。
評価基準を作るのも創造。

§

なお、この本のニーチェの言葉は、手塚富雄訳「ツァラトゥストラ」(中公文庫)を中心に引用されているとのこと。

ツァラトゥストラ (中公文庫)

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