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西林克彦 / わかったつもり - 読解力がつかない本当の原因


全体的に例が豊富で丁寧です。
わかったつもりの正体がわかりました、だいたい。
いろいろ身につまされます。
(わかったつもりについてわかったつもりになりました、などというベタなことは言いません。)

文脈が重要という話。
文脈によってわかるものも変わるし、わかる度合いも変わる。
ビジネス書の速読法なんかでは、「読む前に『この本から何を得たいのか』という目的を持て」、なんてことが言われますが、これも一つの文脈なわけですね。

「いろいろ」に注意。
「いろいろあるのだな」と認識した時点で、実は人はそれ以上の追及を止めてしまうのです。(p.149)
そうなんだよなあ。とはいえ、たいして興味のないことに関しては、「いろいろあるねえ」で済ましても問題ないかと。
つまり、「わかったつもりで聞き流す」。

国語の選択式試験問題の話に納得。
多くの人が持つ国語教育に対する違和感を考慮すれば、「最も適切なものを選べ」という設問は避けるべきであろうと思います。それに代わるものとして、「次のような解釈があるとする。このうち可能なものはどれか。可能でないものはどれか」といった設問形式がよいのではないか
(p.207)
違和感を感じる解釈を消していって残ったのが「正解」なわけで、「正解」を探そうと考えると「著者の考えは著者にしかわからん」、「どうやって解釈したって自由だ」などと心が反発しがち、といった話。