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高野陽太郎 / 鏡の中のミステリー / 岩波科学ライブラリー


鏡に映ると上下はそのままなのに左右だけ逆になるのはなぜなのか。
この謎を解明する本です。

§

私の理解の範囲内でざっと解説してみます。
不正確なところも多々あると思います。ご指摘いただければ幸いです。

まず、光学的には、
鏡はその面に垂直な方向だけを反転する
というのが基本です。左右や上下を反転することはありません。
それは人間がそう感じる、というだけです。

この本による説明では、自分の姿の鏡像反転と文字などの
鏡像反転を異なる原理による現象としています。
前者をタイプI、後者をタイプIIと定義して解説しています。

タイプI(自分の姿)の場合は幽体離脱みたいな仮想的な視点移動が鍵と
なります。まず「自分がもし鏡の裏に移動したら」と考えます。そして、
その鏡の向こう側からの視点を想像(下図(1))すると実際の鏡像(下図(2))
とは異なるため、左右が逆になったと感じるわけです。この場合、鏡の向
こうに水平移動したと仮定しているので、水平方向、つまり左右が逆にな
ります。

図

次は、タイプII(文字など)の場合です。壁に書かれた文字「F」がある
とします(下図(1))。それの鏡像を見るためには視点を水平移動します。
そのため左右が反転していると感じるわけです(下図(2))。ここで逆立ち
か股のぞきで鏡像を見てみましょう。すると、左右ではなく上下が反転し
て見えます(下図(3))(頭頂が上、顎が下)。
どの軸で視点を移動したかで、左右反転、上下反転が変わるわけです。

図

§

ここでは端折っていますが、さまざまな仮説の検証や詳細な解説があり、
理解の手助けになります。絶版らしく、入手は難しいかもしれませんが、
図書館などで見つけたら是非読んでみて下さい。

未読ですがこんな本もあるそうです:
吉村浩一 / 鏡の中の左利き-鏡像反転の謎

Yasazonで見つけました。こういうとき便利!
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