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茂木健一郎 / 脳の中の人生 / 中公新書ラクレ


もともと「読売ウイークリー」の連載がベース。
ということで、気軽に読めるエッセイ集になっています。
いろいろ示唆に富んでて面白いです。

とりあえず今日は二点だけ紹介:

まずは、脳の手入れについて。脳も臓器だし健康に気を配るのは大切。
意識的にできるのは、手入れをして、あとは脳の自然な生命力に任せること
だけなのである。(p.20)
例えば意識でコントロールできるのは、ある本を読むか読まないかという
選択。てなわけで、
良い本を読むこと。これは一つの手入れである。[...] そのような手入れ
を受けて、私たちの脳の中の生命力が働きはじめる。その結果、思いもし
なかったような新しい発見が生まれる。だからこそ、脳の手入れは面白い。
読もう、読もう、良著を読もう!

それから、脳がいつひらめくか、という話。
私たちのグループの研究で、脳がいつ「ひらめく」のか、どうやら本当に
予測できないらしいということが明らかになった。(p.202)
こんな実験をしたらしい:
よくよく見ると木漏れ日の中を歩く犬だと分かる白黒の絵を見せて「正解
(何が描かれているか)」が分かるまでの時間を測定した結果、短時間で
解答できない場合は「正解」が分かるまでの時間が予想できないことが分
かった。
数学者は、同じ問題を10年、20年と考え続けるという。「ひらめく」のに、
それだけの長い時間がかかることもある。「ひらめき」を強制することは
できない。制限時間なしのスローなプロセスを大切にして、はじめて創造
性が育まれるのである。
という結論。スロー重要!

追記: この本について別記事で書いたもの。
- [を] 他人に注意することの喜び[2006-05-30-6]
- [を] 科学離れとわかりやすさの追求[2006-05-21-1]