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三浦展著「下流社会」を読みました。

三浦展 / 下流社会 - 新たな階層集団の出現 / 光文社新書


まずは、あなたが「下流」の人かどうかを判定しましょう (p.3)。
あてはまる項目を全てチェックし、「判定する」ボタンを押してください。
(なお、判定はJavaScriptのみで行っています。サーバにはデータを送っていません。)

年収が年齢の10倍未満だ
その日その日を気楽に生きたいと思う
自分らしく生きるのがよいと思う
好きなことだけして生きたい
面倒くさがり、だらしない、出不精
一人でいるのが好きだ
地味で目立たない性格だ
ファッションは自分流である
食べることが面倒くさいと思うことがある
お菓子やファーストフードをよく食べる
一日中家でテレビゲームやインターネットをして過ごすことがよくある
未婚である(男性で33歳以上、女性で30歳以上の方)


いかがだったでしょうか?

さて、この本は、中流という多数派が「上流」と「下流」に二極化しつつあるぞ、という論旨です。日本が二極化階層化社会になっていく、と。
全体の傾向は確かにそうなんだろうなあ、と感じました。
ときどき統計値の解釈に若干苦しいのもあるような気がしますが、特に問題はないかと。うーん。

第2章の類型化の話は面白いですね。類型化の説明にでてくる実例(インタビュー)を読むと、こういう人いるな〜、と。
女性の類型化は、上昇志向 or 現状指向、職業志向 or 専業主婦指向の二つの軸がベース。お嫁系、ギャル系、普通のOL系、ミリオネーゼ系、かまやつ女系の5つに分類されています。

図2-1 女性の類型化 (p.42)

男性の類型化は、上昇志向 or 現状指向、仕事志向 or 趣味志向の二つの軸。
分類は、ヤングエグゼクティブ系、ロハス系、SPA!系、フリーター系の4つ。
私はこのなかだったらロハス系が一番近いかな。まあなんかしっくりきませんが。もうちょっとロハってみるかな。

図2-3 男性の類型化 (p.81)

第5章、自分らしさを求めるのは「下流」である?
私は、自分らしさを追求するのはある意味リスクだと思っています。
精神的なリターンは高いかもしれませんが、それまでの金銭的なダメージは大きいかと。
「計画的に自分探し!」がブームになるかも?
象徴的に言えば、村上龍の『13歳のハローワーク』を読んで、そうだ、自分が本当に好きなことを見つけて、それを仕事にしようと真に受けて自分探しを始めた若者は、結果としていつまでもフリーターを続けて30歳になっても低所得に甘んじ、低階層に固定化されていく危険性が高いかもしれないということである。 (p.160)
ただ、問題があるとしてたら、学校にも学校以外にも自己能力感を覚えない高校生が、とりあえず学校で勉強しておこうと思わず、学校以外の趣味やサブカルチャーに見果てぬ夢を見続けることであろう。能力がないのに夢だけ見ていて、いつまでも夢から覚めないのは確かに問題だ。 (p.166)
自分らしさ志向、家族個性尊重志向、は下流で支持される傾向があるそうです。
- 参考:[を] 成功術 時間の戦略[2005-10-16-2].
  「好きなこと」よりも「よくできること」をやることを! という話。
  「好きなこと」=「自分らしいこと」と言えるかと。


その他:

- 男性の所得と配偶者の関係。500万円が結婚の壁。既婚率にくっきり差。 (p.125)

- パラサイト女性は年をとると下流化する (p.135)。理由は不明。いくつか仮説があげられている。

- 規則正しい生活が重要なんですねー(涙)。
ちなみに「百ます計算」で有名になった陰山英男は、実は「百ます計算」だけで学力を向上させたのではないという。では何をしたかというと、「早寝、早起き、朝ごはん」を習慣づけたのである。そういう生活の基本から教えないと、下流化した現代の親は、夜の10時過ぎに子供を連れて居酒屋やカラオケに行ってしまう。これではゆとり教育でなくても学力が下がるのは当然であろう。 (p.177)

- ネットユーザは下流が多い?
今やパソコンは接続料さえ払えば何でも手に入る最も安い娯楽となっており、低階層の男性の最も好むものになっているようである。 (p.179)
  統計によると、趣味がパソコン・インターネットの人は「下」の層に行くほど多いそうな…。(若い世代で)


関連:
- [を] 下流喰い-消費者金融の実態[2006-10-05-5]


追記071022:
続編である「下流社会 第2章」が2007年9月に出てますね。
三浦展 / 下流社会 第2章 - なぜ男は女に“負けた”のか