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鎌田浩毅 / 成功術 時間の戦略 / 文春新書

京大・総合人間学部の人気講座。講義のエッセンスをまとめたもの。
京大生協に平積みになっていました (ref. [2005-08-31-3])。
学生向けではあるんだけど、社会人にも有意義。

まず、面白いなと思ったのが自分の専門の決め方。ポイント2つ。
(1) 時代の流れを見ること:
時流に関係せず自分の好きなことを選べという人がよくいるが、私は賛成
しない。就職先のないところで力を発揮せよ、というのは無責任だと思う。
[...]
自分にピッタリ合った仕事が必ずあるはずだから探そうという考え方があ
るが、実はそれは戦略的ではない。いくら探してみても、見つからないこ
とが多いからだ。それよりも世の中で既に存在している仕事に、自分を合
わせていこうという方がずっとうまくゆく。 (p.37)
(2) 「好きなこと」よりも「よくできること」をやること:
「好きなこと」というのは、得てして「下手の横好き」になってしまう。
本人は好きなことをやっているから、満足している。しかし、傍から見る
と意味のある仕事になっておらず、時間と労力の浪費であることが多い。
自分の趣味の領域ならばよいが、人から任された仕事でもこの状態に陥っ
ている人が結構いる。社会に対して迷惑になっている場合もある。 (p.39)
やりたいことよりもやれること、というのは私も常々考えていることです。
やれることをやってから、やりたいことをしがらみなくやるのが良いかな。
(ref. 5P日記: 得意から探す職探し
  <http://www.chakuriki.net/diary/archives/2005/10/post_433.html>)

二十代には留学するな、という話もなるほど。二十代のうちの自分の専門
についてある程度の高レベル実力をつけてから留学しないと、単なる
「遊学」に終わってしまう。もちろん見聞を広めるという意味で遊学も
意味はあるが、やはり自分の武器が固まってから他流試合に望むべき。
とのこと (p.48)。

本は考えるための文房具である、という話も。著者はノート代わりにメモ
でもなんでも書き込む。「紙と鉛筆」ではなく「本と鉛筆」を使ってもの
ごとを考えているそうな (p.108)。うーん、私にとってはまだまだ抵抗が
あるなあ。

効率的に教養を身につけるには、という話。
音楽でも小説でもやはり王道は古典ですね。
教養の王道は、古典(クラシック)である。鑑識眼を徐々に養いながら、
自分なりの基準を作る。ひねりを入れるのは、あとからいくらでもできる。
異端を求めてマニアックにかぶれることは、入門者には勧めない。
オリジナリティーを発揮するのは、そのあとで良いのだ。 (p.141)