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大塚英志 / 物語の体操-みるみる小説が書ける6つのレッスン / 朝日文庫


そもそもは小説を書くことを志す人を対象とした本です。私は小説を書く気はないのですが、「物語の構造」というものに昔から興味がありました。ぱらぱらっと立ち読みしてたら、「物語の構造」についてわかりやすく解説されていたので、思わず買って読んでみました。

物語の要素 (登場人物の状態など) を整理していくと、表面上異なるだけの「同じ」ものに分類できます。このような抽象化された要素 (機能) をうまく配置して小説を設計しましょう、というのが前半の内容です。

ロシア民話の構造を31の機能に分類したプロップの研究が簡単に紹介されています。参考までにいくつかを挙げておきます。

- 犠牲者は罠におち、心ならずも敵を助ける
- 主人公は未来の贈与者の試煉に答える
- 主人公は敵と決められた闘いに入る
- にせの主人公が手柄を立てたのは自分であると主張する

「世界観」の話にもかなりページが割かれています。一度きっちりと世界観を設計しておくと、後はゲームをプレイするようにお話しを作っていけば、延々とシリーズものが続けられる、と。村上龍の「五分後の世界」の舞台設定 (世界観) で学生に小説を書かせた (←講義で)、という話も。練習には最適だそうな。

まあ、そんなわけで、世界観を確立し物語の機能を適当に組み合わせれば、小説なり RPG のシナリオなりがみるみる生産できるというわけです。著者はジュニアノベルズ作家養成を目的とする専門学校の元講師で、漫画の原作や自分が原作を書いた漫画のノベライズなども手掛けてる作家です。ソフト産業のために「物語の技術者」が必要であると主張しており、そのためにこのような「技術」を教えてきたそうです。

読後、なんだか小説がすらすら書けるような気になってきました。
でも、気のせい。
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